第8話先人の残した戒めを検証してみる④

7.変装して登場人物を騙す場合を除き探偵自身が犯人であってはならない。



 この文章の前半の部分は抜きにして、探偵自身が犯人であってはならない。というのはその当時は基本的なルールだったのだと思います。ただそのルールを破ることで読者を驚かす。叙述トリックも古くから出始めていましたし、現在では当然の如く探偵自身や語り手自身が犯人である小説が沢山出てきています。なので最早この戒めは戒めとして現代では機能していないと見るべきだと思います。


 さて、今度は文章の前半を検証してみたいと思います。まず、文章の意味が良く解らない所があります。和訳が変なのかもしれませんが、変装して登場人物を騙す場合というのが今一ピンときません。主語が無いから解りずらいのかもしれませんので(探偵が変装して登場人物を騙す場合)にしてみて考えてみます。自分としては瞬間的に思い浮かぶのは小説ではなく、名探偵コナンの新一のお父さんである工藤優作がコナンを騙す話です。にしても(変装して登場人物を騙す場合は探偵自身が犯人でも良い)というのは意味が良く解らないというか状況がどうなのかが今一想像できません。難しく考えすぎなのかな?


 色々考えてみた所、探偵自身が変装して登場人物を騙す場合に探偵自身が犯人で良いケースというのは、本当の殺人事件には使えなさそうな気がしてなりません。実際の殺人事件はなく殺人事件のレクチャーをしているケースや、日常の謎的なものを題材とした作品であるなら考えられそうです。ただ正直理解不能です。反省。




8.探偵は読者に提示していない手がかりによって解決してはならない。


 これは現代においても推理小説の基本中の基本ですよね。作品中に推理できる要素を仕込んでいなければ推理できません。推理出来なければ推理小説として失格であるという事になります。そして、提示していない手がかりによって解決してしまったら、こんなの解るわけないじゃん。的な非難を受けてしまう恐れも出てくるのです。まあ、ここが難しい所ですよね。推理できないギリギリのヒントまでを出しておいて、読み終わった読者が若しかしたら推理できたかもしれないと思わせられると理想かもしれません。いやいや難しいですね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る