第7話先人の残した戒めを検証してみる③

5.中国人を登場させてはならない。



 まあ、現代に関しては何とも云えませんが、1920年代のヨーロッパではそう思われていたのでしょう。まあ証言が信用できないから推理に信憑性が得られないという事なのだと思います。ただこれは特定の国を指すのではなく、虚偽証言をする可能性がある人物を登場させてはいけないというふうに書かないといけないように個人的には考えます。どこの国の人間であろうとも虚偽証言をする事はあるのですから。


 ただ、ミステリー世界において、虚偽証言が出てこなかったかというとそうでもないような気がします。確かアガサ・クリスティーのオリエント急行殺人事件で、記憶が定かではありませんが、老婆が虚偽証言をしていた記憶があります。居もしない人物が自分の個室に入ってきたみたいな証言をしていた記憶が。でもポアロはそんな証言も含めて推理しているので、(虚偽証言をする可能性がある人物を登場させてはいけない)というのはちょっと縛りがきつ過ぎるのではないかと思います。


 また叙述トリック系の(信用できない語り手)などはそれを逆手に取って仕掛けています。なので現代では(虚偽証言をする可能性がある人物を登場させてはいけない)は通じなくなってきていると見るべきでしょう。現代では逆に上手く使うべきだと思うのです。




6.探偵は偶然や第六感によって事件を解決してはならない。



 この項目は二の戒めと被る部分がありますが、偶然に関しては、推理をせずに偶然に解決をしてしまったら、もう推理小説じゃないぞ。という事だと思います。そして犯人を見付ける、見付けたというカタルシスが消えてしまう恐れもあります。


 また第六感に関しては超自然能力とほぼ同義と思われますから、やはり能力で直接事件を解決するというのは少々拙く思われ、間接的に第六感を使い、その条件の上で推理させるというなら現代的で使用可なのではないかと個人的には考えます。やっぱり古い時代に書かれた戒めなので色々固いですね。

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