第4話推理小説に於けるトリックの種類
これは飽くまで本格ミステリーや本格推理小説に於いての物になりますが、それらを書くに当たって必要な偽装方法となります。過去から現代までに色々なトリックが使われてきましたが、それらを挙げ連ねてみたいと思います。
それでは、まず物理トリックという物から説明していきたと思います。物理と聞くと難しそうな印象ですが、簡単に言いますと物を使ったトリックになります。
古典でよく使われた物理トリックとしては、
●氷の弾丸、氷の凶器
●針と糸による密室
●時限機関を使った殺人
●遠隔操作でアリバイを維持しつつの殺人
みたいなのがあります。
次に心理トリックというのがあります。
人の心理を利用したトリック、居ない人をさも居るかのようにみせたり、作者が犯人だったり、探偵が犯人だったりという盲点や心理を利用したトリック。叙述トリックも心理トリックの一つであります。
それ以外によく出てくる物としては下記の物があります。
●アリバイトリック
犯行があった時間に別の場所で誰かと食事をしていたなど、現場不在証明がなされ犯行が不可能だったというトリックです。社会派ミステリー及び、時刻表によるトラベルミステリーなどで多く使われます。
例として、西村京太郎氏の日本海殺人ルートを上げてみたいと思いますが、新潟発大阪着、特急白鳥の中で女性が殺されていた。しかし犯人と思しき男は、その白鳥が大阪駅に到着する10分前に、大阪始発の近鉄ビスターカーで奈良へと向かっていた。容疑者逮捕には10分の壁が立ちふさがる。みたいな感じです。
●死体損壊トリック
死体をバラバラにしたり、首を切り落としたりして、誰がどのようにして殺したのかを解らなくするトリックです。殺害された人物を別の人間と誤認させたり、犯人が自分が死んだ事にする為などに使われたりします。見立て殺人などに絡ませ、首を切った目的などを解らなくする為などにも使われます。
代表作といえば島田荘司氏の占星術殺人事件が有名ですね。
●密室トリック
遺体が見付かるが、その場所に犯人が入り込める余地がないと思われる空間を指します。監視カメラで経路を見られている場合や、周囲が雪で覆われているのに足跡が無いなどの場合も含まれます。この密室トリックにも、物理トリックや心理トリックが重なる場合もありまして、針と糸で作った密室は物理トリック、密室ではないのに開かずに戸をぶち破って入った中に部屋の鍵が落ちていて、密室だと思わせる心理トリックなどがあります。
まあ、個人的には物理、心理は置いて於いて、密室の作り方には三つ程方法があると思っています。本当は密室ではないのに心理的に密室に見せる方法、扉など隙間を外から気付かれないように固めて密室にしてしまう方法、そして何らかの細工を使って鍵を閉める方法があると……。
●一人二役トリック
犯人が第三者を演じ、居もしない人物を作り上げたり、猜疑を免れる為に使われます。
よくクローズドサークル物に使われるのですが、居もしない怪人が、隔離された孤島に閉じ込められた人々を襲っているといった設定ながら、閉じ込められた人々の中に怪人を演じている人間がいた。みたいな感じです。
ただ、これらは定番中の定番にはなりますが、正直に云うと使い古されたものにもなってしまっています。それはミステリーフアンのみならず、一般読者に於いても、金田一少年の事件簿や名探偵コナンなどで見知ってしまっているので、使う際にはちょっとアレンジが必要なのではないかと思うのです。上記のトリックを組み合わせて難解なトリックに仕立て上げたり、叙述トリックと絡ませて使うと複雑で斬新なトリックになるのではないかと思います。
ただ、物語性で楽しませる推理小説の場合、トリックに無理に拘る必要はないと個人的には思います。謎解きはディナーの後で、とかはトリック自体はよく使われている普通のトリックですし、その謎を解く事に作者も重きを置いていないと思われます。小説として楽しく面白いというものを追求しているにであれば、特に難しいトリックは必要ないのです。深く考えずにどんどん使いましょう。とはいえ、ここでしっかりとしたトリックが使われていたら、より凄いミステリー小説になることは間違いないですけれどもね……。
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