アイドルの秘密

草々緋美

あいどる?

「あなた、アイドルになりなさい。」

「んふ?」


突然声をかけられたからじゃぱりまんを落としそうになった。

今まであったことのないペンギンのフレンズがそこにいた。


「あなた、だーれ?」

「自己紹介がまだだったわね、ごめんなさい。私はプリンセス。ロイヤルペンギンよ。」

「プリンセス……さん?こんにちわ。」


じゃぱりまんはまだ半分残ってる。

食べ続けてもいいだろうか。

今日のじゃぱりまんは冷たくなくて美味しいから、美味しいうちに食べておきたい。


「何か用ですか?」

「え?」


ロイヤルペンギンは黙る。

もういいのかな?、そう思い食べ始める。

冷たくなくて新鮮。ちょうど耳が青いペンギンに運ばれて行くところを見つけたからもらったのだ。


食べ終わって少しだけ眠くなる。

まだ、ロイヤルペンギンは立っていた。

じーっと食事中の様子を見られていた。

見られるとなんだか動き辛い。


「あのー。」

「お食事は終わったかしら?」

「眠くなってきちゃったー。」

「マイペースね、あなた。」

「どちらさまでしたっけ?」

「自己紹介がまだだったわね。ってさっきしたわ!ロイヤルペンギンよ。プリンセスって呼んでちょうだい。」

「プリンセス……さん。」

そういえばさっきそう言われた気がする。


「それで何かご用ですー?」

「あなた、アイドルになりなさい!」

「それは美味しいものですか?」

じゃぱりまん以外にも食べれるものがあるかな?


「アイドルはフレンズ達を楽しませるものよ!」

「楽しませるー?」

「そうよ、歌ったり踊ったりしてフレンズを楽しませるの。素敵でしょ?」

「よくわからない。」

「泳ぎ終わった後、あがってダンスしてるの見た時、ピンと来たの。あなたダンスに向いてるわ。」


ダンス、そんなのをしてたかな。


でもくるくるっと回転してみたり伸びをしてみたり腕を回したりしてた。

そうすると、じゃぱりまんがいつもよりも美味しく感じたり、よく寝れるからだ。


特に誰かに見せたりすることはなかった。

いつみてたんだろー。


「アイドルをやるのは私だけじゃないわ。他にもコウテイやジェンツー、イワトビ、そして私もやるわ。」

「それってじゃぱりまん美味しくなる?」

「じゃぱりまん?そうねー、美味しくなるかもね。うん、美味しくなると思うわ。」

うんうんとプリンセスさんが頷いている。


「じゃあ、やります。」

「決まりね。よろしくね、フンボルト。」

「フンボルト?」

なんのことだろう?そんなフレンズいたっけ?


「あなた、フンボルトペンギンでしょ?みんなからなんて呼ばれてるの?」

「フルルって。」

「フルル、可愛い名前ね!よし、採用!フルル、がんばりましょ。」

「じゃぁもうお昼寝してもいーい?」

「もちろんよ。また来るわ。またね、フルル。」

「おやすみなさい、プリンセスさん。」


プリンセスさんは去っていった。

よく分からないけど、アイドルというものになることになった。

何やるのかよくわからない。

でも、じゃぱりまんが美味しくなるならきっと楽しいことなんだろうと思う。

いつもより身体がポカポカするのを感じた。

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