第5話【悪いのは全部ボクだから】
今日のお母さんは笑顔だった
仕事から帰ってくると
ボクに向かって『ただいま』って言ってくれたよ
いつもなら…何も言わずに
ボクの頭を掴んで、むこうの壁に叩きつけるのに
う~ん
どうしてだろう?
きっと会社で良い事があったのかなぁ??
良かったね!お母さん♪
そしてお母さんが
『一緒に、お風呂に入ろう』って 言ってくれた
え???
おふろ?
いつもなら…お水がもったいないからって
雨の日にボクを外に出すのに
う~ん
どうしてだろう?
きっと新しいお洋服でも買ったのかな?
良かったね!お母さん♪
今日は生まれて初めて
お母さんと一緒にお風呂に入る
お母さんには内緒だったけど
実はボク…ちょっと変な匂いがしてたんだ
でも、今日でその匂いとはオサラバだ!!
頭をシャカシャカ♪
体もゴシゴシ♪
沢山の泡が
ボクと母さんの体を包み込む♪
雨よりも沢山のお水と
いつもよりも暖かな優しさで
今日のボクは王様気分♪♪
えっへん!どんなもんだい!
お風呂から上がると
お母さんに体を拭いてもらった
真っ白なタオルでゴシゴシゴシ♪
とってもフカフカでいい匂い♪
お母さんどうして今日は
こんなに優しいの?
いつもと違うお母さんは
いつもと違う人を見てるみたい
体でも壊しちゃったのかなぁ?
おなか痛くない?
あたま痛くない?
どこか痛くない?
ボクが不思議に思っていると
お母さんの後ろで声がした
『キミが×××ちゃんかい?』
男の人の声だった
初めてみる男の人だ
『ずっと話は聞いていたよぉ~。会いたかった!』
そう言って男の人は大きな手のひらで
ボクの頭をガシガシなでた
ちょっと痛かったけど
なんだか嬉しくなっちゃった
男の人はポケットから
四角い小さな箱を出し
ボクに渡した
……ん?
これは何だろう?
貰ってもいいのかな?
ボクはソレをお母さんにわたすと
ゆっくり包み紙を開いてくれた
すると中から小さなオモチャが
コロンを姿をだした!!
プラスチックで出来た
カラフルなオモチャ
わぁ~い!!!
ボクは、とってもとっても嬉しくて
大きな声で『ありがとう!!』って言った!
うわぁ~い♪
やったね♪
ボクは、ちょうどお腹が空いてたから
オモチャを口の中に入れて
ガリガリ砕いて
ゴックン飲んだよ
昨日、食べたオモチャより
ずっとずっと美味しかった♪
ううん!違う!このオモチャは
今まで食べた中で一番美味しかった !
ボクは、とってもとっても美味しくて
大きな声で何度も『ありがとう!!』ってお礼した
そんなボクを見て
男の人がポツリと呟いたよ。
『おい…この犬!オモチャ食べてるぞ!!!』
え?…オモチャって食べ物じゃないの?
だってお母さんが…ボクにご飯をあげないから
ボク…ずっとそうしてきたんだよ
お腹が空いたらオモチャを食べる
ぁあ、、
悪いのは、全部…ボクだから
そんな顔しないでよお母さん
お母さんは何も悪くないんだよ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます