第一話「しゅっぱつ 後編」

「はあ……、はあ……、マルカさん、あと、どのくらいでしょうか……?」

「もうちょっとー」

「そう、ですか……」


 あれから数十分後。

 ジャパリバスを漕いでいたのはカバンさんただ一人となっていました。

 他のフレンズさん達はというと。


「うぅー。あたまがおもいよー。なにこれ、わかんない! 取れないよー、あっち行ってよー!」

「ふらふらなのだ……。ぐるぐるなのだ……」

「これは、ちょっと、気持ち悪くなっちゃったなぁ……。ごめんねー、カバンさん」

「仕方ないですよ。フェネックさんたちは休んでてください」


 見事に船酔い中でした。

 フレンズさん達は感覚が鋭敏なので、乗り物に酔いやすいのかもしれません。

 船の揺れはバスとはまた違う揺れですから、よくバスに乗っていたサーバルさんも酔ってしまったんでしょうね。


 私も色々なエリアへ行くために船にはよく乗っていました。懐かしいですね。

 確か、最初は気持ち悪いこともありましたが、じきに慣れたような……。


 そういえば、カバンさんは平気そうです。初めて乗ったのだと思いますが、何故なのでしょうか?


「カバンちゃんは元気そうだね。いいなあ」

「ぼくも最初はちょっと気持ち悪かったよ。でも、もう慣れちゃった」

「さすが、カバンさんはすごいのだー……」

「アライさーん。無理に喋らない方が……うっぷ」

「フェネックさん、大丈夫ですか!? ぼくはまだまだ平気なので皆さん、無理しないでくださいね」

「カバンちゃん、ありがとう」


 キコ、キコと一人で漕ぐ分、余計にゆっくりとしたスピードでジャパリバスは進みます。

 あ、今右手にきょうしゅうエリアのこうざんが見えましたね。

 目的地が“アレ”ならば、もうすぐ到着するはずです。


「ねーねー、カーちゃん」

「ふぇ? カーちゃんってぼくのことですか!?」

「そうだよー? カバンだからカーちゃん。それに、サーちゃん、アーちゃん、フェーちゃん」

「ねえ、カバンちゃん! わたしのあたまの中に何かあるの! おもくて、うねうねして……。取って! おねがい!」

「うう、アライさんは……、アライさんなのだぁ……」

「もう、何でもいいよー。好きなように呼んじゃってよー」

「サーちゃん達、どうしちゃったの?」

「……ぼくにも分かりません。ただ、気分が悪いようですので、そっとしておいてあげてください」


 体を丸めて寝ていた三人のフレンズさん達でしたが、サーバルさんがカバンさんに近付いてきました。

 船酔いの症状の一つである、頭重感を何か重りが乗っているように考えたのかもしれません。


 アライさんとフェネックさんはずっとぐったりしています。

 元々この船はバスだったので、揺れを抑える機構もないのでしょう。

 逃れられない頭痛……。うう、考えただけでも辛そうです。


「みゃっ、みゃみゃっ! うぅ、わたしじゃやっぱり取れないよ」

「特に、何か乗っているようには見えないけど……」


 頭の上を自分の手で一生懸命振り払おうとするサーバルさん。

 ああ、そんなに激しく頭を振ってしまうと余計に悪化してしまいますよ!


 カバンさんは一度自転車を漕ぐのをやめて、サーバルさん達の看病をすることに決めたようですね。

 座席に座ったサーバルさんの頭を撫でて船酔いの原因を探しています。


「カーちゃん、カーちゃん! マルカがキコキコしててもいーい?」

「え、マルカさん、いいんですか? 助かります。ぜひ、お願いします」

「うん、まっかせてー!」


 マイルカさんが、海から上がってペダルを漕ぎ始めました。

 水棲動物のフレンズさんはフレンズ化したことで陸上でも動けるようになりましたからね。

 ジャパリパークの沿岸部や港では、海で生きていたフレンズさん達がたくさんいます。


 マイルカさんは、青色のセーラー服のようなものを着ているようです。

 リストバンドも服とお揃いの青色。尾ひれの付いた尻尾が見えますね。泳ぎがとっても速そうです!


「うーん、やっぱり何も無いような……」

「うみゃあー……。あ、カバンちゃん、やめちゃうの? えっと、あのね? もうちょっと、もうちょっとだけ! 探してみてほしいな」

「え、どうして?」

「カバンちゃんに探してもらってたらね、少しだけ楽になった気がするの! だから、おねがい!」

「あ……。うん、分かったよ。それじゃあ、もう少しだけ探してみるね」

「ふみゃぁ……」


 カバンさんの船酔い原因探しは難航しているようです。

 ですが、撫でられているサーバルさんはとっても気持ちよさそう。目を閉じてリラックスしています。


 船酔いしたらリラックスするのが一番ですからね。

 カバンさんに撫でられることで、少し楽になったのならいいのですが。


「そうだ。ラッキーさんはサーバルちゃん達がどうなっているのか、何か知りませんか?」

『コレハキット、船酔イダネ。船酔イニナッタラ目ヲ閉ジタリ、遠クヲ見詰メルトイイヨ』

「へえ、船酔いですか」

「もー、ボス! 知ってるならもっと早く言ってよー! 遠くを見てればいいんだね!」

「アライさん、フェネックさん。お二人も、遠くを眺めてみてください」

「カバンさんが言うのなら間違いないのだ。やってみるのだ」

「…………」

「フェネックさん?」


 ラッキーの少しタイミングがズレてるところは相変わらずなのね。

 もっと早く伝えてあげればいいのに。


 サーバルさんとアライさんはバスの窓からぼーっと景色を眺め始めました。

 海風にも当たって気分を紛れさせられればいいですね。


 ただ、フェネックさんはどうしたのでしょうか?


「どうしたの、フェネック? わたしはちょっと楽になってきたよ! 風がすごいの! さばんなちほーとは違う風だよ!」

「すごいのだ! ふらふらのぐるぐるが消えていくのだ! それに、水がどこまでも広がっていてキレイなのだー。フェネックもこっちに来るのだ!」

「……ごめんねー。私は目を閉じる方で頑張ってみるよー」

「あの、フェネックさん……」

「気にしないでー、カバンさーん。目を閉じててもー、少しずつ楽になってきてるからー」

「そう、ですか? なら、いいんですけど……」


 サーバルさんとアライさんは少しずつですが、船酔いが収まってきたようです。

 サーバルさんは風、アライさんは海に興味津々ですね。


 フェネックさんも、目を閉じることで船酔いを治そうとしています。

 フェネックは穴を掘ってその中で眠る動物です。こちらの方が落ち着くということなのでしょう。


「マルカさん、もう大丈夫そうです。代わって頂いてありがとう……あれ? マルカさん?」

「うーっ、どーんっ!」

「わっ、わわっ」


 あら? 何かがぶつかる音がしましたね。

 カバンさんも慌てているようです。

 どうしたんでしょうか?


 サーバルさん達は……。


「かぜ! かぜが、すっごい! わー!」

「水が後ろへ流れて行くのだ! とっても速いの……うぅ、遠くを見なきゃ気持ち悪くなっちゃうのだ……」


 どうやら、景色を楽しむのに夢中みたい。

 初めての海を満喫しているようですね。


 フェネックさんは……微動だにしていません。

 眠ってしまったのでしょうか? カバンさんの慌てようを見るに、結構な衝撃だったようですが。


 カバンさんはジャパリバスの後ろへ行くようです。

 サーバルさん達の後ろを通って、バスの後方を確認しています。

 元気な声が足元から聞こえてきますね。


「とーう! ええーいっ!」

「マルカさん!? そんなところで何を」

「あ、カーちゃん! キコキコもねー、楽しかったんだけど、押した方が速い気がしたのー!」

「なになに!? カバンちゃん、どうしたの?」

「あ、サーバルちゃん」

「わ、すっごーい! マルカは力持ちで泳ぐのが得意なフレンズなんだね!」

「マルカはね、群れの中でもおっきいから。これぐらいなら押して行けるよー」


 バスへの衝撃はマイルカさんが押したことによるものだったようです。

 尾ひれを懸命に動かしているのがここからでも良く見えます。

 自転車で漕いでいた時よりも速そうです!


「むぐぬぬぬぬぬーっ!」

「わーい! はやいはやーい! これならすぐに到着できそうだね!」

「でも、マルカさんが後ろにいるのに目的地へちゃんと向かってるのかな? マルカさんには進んでる方向が見えないはずだけど……」

「速いのだー、目が回るのだー」


 サーバルさん、とっても楽しそうですね。アライさんはどうしても水面を見てしまうようです。

 流れる水面を近くで見ると船酔いをしやすいらしいですから、アライさんにとって船は天敵かもしれません。


 カバンさんは、進行方向を気にしているようですが……。

 バスの窓から見えるきょうしゅうエリアのサンドスター山。その方向を見るに、その予感は当たっていそうです。


「あれれなのだ。少しずつ流れが遅くなって行くのだ」

「ふー、ちょっときゅーうけーい! 楽しかったけど、疲れちゃったー」

「マルカってすごいんだね! 重いバスをあんなに押せるんだもん!」

「んー? そんなに重くなかったよ?」

「えー、わたしが持った時は重かったよー!」

「あの、マルカさん」

「なあに? カーちゃん」

「このバス、きょうしゅうえりあに向かっているようなんですが……方向あってますか?」


 首を傾げたマイルカさんは座っていたバス の後ろから立ち上がって運転席の方へ向かいます。

 バスからは鬱蒼と茂ったジャングルが良く見えますね。


「あれれ? こっちじゃないよ?」

「やっぱり……」

「えー? なになに? どういうことー?」

「うあーなのだー。水が見たいのに遠くを見なきゃいけないなんて、あんまりなのだー! むむ、むむむ? あっちに何か見えるのだ!」

「ほんとう!? どこどこー!?」

「ほら、向こうなのだ! 大きいのが見えるのだ!」

「あー! でんちの模様を見たのはね、あれの足元だよー!」

「すごいのだ! 大きいのだ! フェネックもこっちに来て一緒に見るのだ!」

「アライさん、フェネックさんは今……」


 ああ、やっぱり目的地は“アレ”でしたか。

 今でも動いているのでしょうか?


 そして、アライさんはフェネックさんを呼んでいるようです。

 ですが、フェネックさんはずっと丸まったきり動いていません。

 いえ、今、耳が少し反応したような。


「……もー、アライさーん。ゆっくり寝かせておくれよー」

「あ、フェネックは眠っていたのだ? うう、起こしてしまってごめんなさいなのだ」

「いーよー。許してしんぜよー」

「ははー、なのだー」

「わ! フェネック、偉くなったみたい! ははーっ!」


 フェネックさん、起きちゃいましたね。

 うーん、また船酔いしたりしなければいいのですが。


 サーバルさんはすっかりいつもの調子を取り戻したようです。

 アライさんと並んでフェネックさんの前で服従のポーズ。

 なんとも可愛らしい光景ですね。


「マルカさん、あの大きな建物で充電ができるんですか?」

「えーとねー、マルカは分かんないな! でも、さっきと同じ模様はあったよ!」

『電池ト、同ジまーくガアッタノナラ、充電ハデキルハズダヨ』

「わっ! なにそれ! しゃべった! ねえねえ! なんなのそれっ!」

「これはラッキーさんです。色々あってこんなに小さくなっちゃいましたが。時々頼りになるぼくたちの仲間です」

『かばん、“時々”ハ余計、ダヨ』

「カバンちゃん! カバンちゃんっ! あのおっきーいの! 行ってみたい!」

「そうだね。とにかく、行ってみるしかない、かな?」


 ジャパリバスの向きを変えて、いざ出発です。

 目的地が目で見えるようになったからか、皆さん、先ほどよりも楽しそうです!


「マルカが押そうかー?」

「い、いえ、マルカさんは案内をお願いできますか?」

「いいよー。でも、押した方が速いよ?」

「その、マルカさんに頼りっぱなしもどうかと思うので」

「大丈夫だよ、マルカ! わたし、あたま重いのなくなったからっ! いっくよーっ!」


 カバンさんとサーバルさんが二人並んで自転車を漕ぐと、カバンさんやマイルカさん一人だった時よりも速く進みます。

 その分揺れは大きくなりますが、アライさんやフェネックさんの船酔いは大丈夫でしょうか。

 船の横にできた波を不思議そうに見ているアライさんが特に心配です。


 あっ、危ない!


「わっ、わわっ、わわわわわぁー! っと、あれ?」

「アライさん、落ちたらどうするのさー。流されちゃうよー」

「フェネック! 助けてくれてありがとうなのだ! でも、大丈夫! 今みたいにフェネックが助けてくれるのだっ!」

「そりゃ、助けるけどさー。私、あんまり泳げないよー」

「そうなのだ?」

「アライさんやサーバルさんと違って私はさばくちほーがなわばりだよー。川だってなかったんだからねぇ」

「アライさんが落ちたらわたしが助けてあげるよ! わたし、およぐのも得意だから!」

「あれ? サーバルちゃん、川で流されちゃってたような……」

「あ、あの時はびっくりしちゃっただけだよっ! うみなら流れも速くないし、きっとだいじょうぶ!」


 確かに、サーバルキャットやアライグマは泳ぎが得意ですね。

 でも、それは動物だった頃のお話。

 フレンズ化したことで、泳ぐのが得意な子、苦手な子が動物の種類に関係なく存在していたはずです。


 サーバルさんはどうだったでしょうか?

 サーバルさんと海、楽しかったなぁ。あの時もごこくエリアだったような。

 また、一緒に遊びに行きたいですね。


「……てやーっ! ざっぱーっん!」

「おおおーっ! すごいのだ!」

「わあー! マルカ、今の何!? 今の何っ!? もう一回!」

「いーよー。ちょっと待っててねー。……とりゃー! ばしゃーんっ!」

「すっごーい! 楽しそう!」

「なのだ!」

「おぉー。大迫力だねぇ」

「すごいですね。尻尾を使って海の上へ飛び上がって……。お腹、痛くないのかな?」

『アレハ、ぶりーちんぐ、ダネ。海面ニ飛ビ上ガッタ後、体ヲ水面ニブツケテ水ヲ跳ネ飛バス行動ノコトダヨ』

「楽しいんでしょうか?」

『ぶりーちんぐヲ行ウ理由トシテハ諸説アッテ詳シイコトハマダ分カッテイナインダ』


 マイルカさんが、船に付き従うようにブリーチングを始めたようです。

 船が進むことでできた波を跳んでいく様子を見ると、見ている私達も楽しくなってきます。


 ブリーチングの理由は、求愛行動や威嚇、ただ単に遊んでいる等と言われていますね。

 果たして、どれが正解なのでしょうか?


「あははー! たーのしーっ!」

「いいなー! わたしもやりたーい!」

「アライさんもやるのだー!」

「サーバルちゃん!?」

「こーら。アライさんもサーバルさんも大人しくしてなよー」


 どうやら、フレンズさんは遊んでいるだけ、というのが正解なようですね。

 サーバルさんとアライさんはフェネックさんに止められちゃったようです。

 遠くに流されてしまうと大変ですからね。


 後ろの首襟を掴まれたサーバルさんとアライさん。

 海へ飛び込むことはできませんでしたが、それでもマイルカさんのブリーチングを見て目がキラキラしています。


「電池を一杯にしている時に少し海で遊んでみるのもいいかもしれませんね。あ、あれは何でしょうか」

「んー? カバンちゃん、何かみつけたの?」

「あ、サーバルちゃん。ちょっと遠いんだけど、見える? あの黒いの」


 バスの進行方向より少しズレた場所に、黒いものが浮いてますね。

 遠くて良く見えません。あれは、一体何でしょうか?


「黒いものかー。前に見たセルリアンを思い出すねぇ」

「ええ!? セルリアン!?」

「ア、アライさんがやっつけてやるのだ!」

「サーバルちゃん、アライさん、心配しなくてもセルリアンは海が苦手ですから。海にいればセルリアンに襲われることもありませんよ。フェネックさんも知ってるでしょ?」

「あははー。ごめんねぇ。ちょっとからかってみたくなっちゃってー」

「えー、フェネックひどいよ!」

「そういえば、海でセルリアンに会ったってマルカも聞いたことないかもー! びっくりだね!」


 セルリアンは海が苦手、ですか。

 多種多様なセルリアンがいた頃は海からセルリアンが現れたこともありましたが……。

 いえ、あれは海からではなく船から、でしたでしょうか。


 海に浮かんでいる黒いものを横目にわっせわっせと目的地へと近付いていきます。

 その姿も少しずつ見えてきましたね。


 回るはずの羽が一本のみとなってしまった風車がジャパリバスの目の前にそびえ立ちます。

 風力発電機をジャパリパークの海上へ建設したとは聞いていましたが、やはりもう既に朽ちていましたか……。

 残った羽は真上に伸び、今にも折れてしまいそうです。


「すっごーい! 大きいね、カバンちゃん!」

「おおおー。こんなの、アライさんも見たことないのだ!」

『コレハ風車ダヨ。羽ヲ回シテ電気ヲ作ルンダ』

「回す、ですか? ラッキーさん」

「うーん、どこかが回ってるようには見えないけどなぁー」


 サーバルさん達は初めて見る風車にはしゃいでいるようですが、恐らくこれはもう……。

 海上へ建てた風力発電機はいくつかあったはずですが、他のものも同じように朽ちているかもしれません。


「よーし、とーちゃーっく!」

「アライさんが一番乗りなのだー!」

「あ、待ってよアライさんっ! わたしも!」

「あーあー、二人ともー。そんなに慌てちゃ危ないよぉー」

「あ、船と建物の間に隙間が」


 風車の周りはヒビの入ったコンクリートで固められていますね。

 船着場のようなところへジャパリバスを寄せようとしていますが、難しい様子。


 ああ、サーバルさんとアライさんが飛び出したことで船が岸から離れてしまいました!

 カバンさんが注意を呼びかけようとしましたが……。


「もー、アライさんはせっかちだなぁ」

「アライさん、だいじょうぶ?」

「うう、落ちちゃったのだ。サーバルのジャンプ力は凄いのだ!」

「えっへん」

「マルカさん、アライさんを助けてくださりありがとうございます」

「いいのいいのー。それよりさ! あの模様ってこれでしょ? ほら!」


 ジャンプ力の高いサーバルさんは助かったようですが、アライさんは落ちてしまったようですね。マイルカさんが助けてくれました。

 そのまま、マイルカさんに連れられ風車の足元へ。

 そこには電池のマークが。


「あっ、ありましたね! これです!」

「マルカ、役に立ったみたいでよかったー」

「マルカ、ありがとう! カバンちゃん、これでバスが動くの?」

「ついに、動いてるバスに乗れるのだ!?」

「こればっかりは、ボスに聞かないとねー」

「あ、ごめんね、皆! マルカ、そろそろ戻らなきゃ! 学校が!」

「がっこう?」


 マイルカさんの言う学校とはフレンズさん達の学校でしょうか?

 これは興味深いですね!

 フレンズさん達は学校で勉強をしているのですか!? ああ、できることなら直接お聞きしたい……っ!


「そうだよ、サーちゃん。ドルカやナルカみたいにフレンズもいっぱいいてねー。色々教えて貰ってるんだー」

「マルカさん、ここまでの道案内、本当にありがとうございました!」

「うんー。何か困ったことがあったらまた言ってねー」

「またーなのだー!」

「どもども、ありがとーねー」


 マイルカさんが海中へと姿を消した後、カバンさん達は電池に充電ができるか試し始めました。

 ですが、どうやら成果は芳しくないようで……。


『ドウヤラ、コノ風車ハ活動ヲ停止シテイルミタイ』

「ラッキーさん、充電はできないってことですか?」

「えええー! うーん、どうしよう」

「困ったねぇ」

「へ!? え!? 一体何がどういうことなのだ!?」

「それがですね、アライさん。どうやらここでは充電が……」


 その時、頭上で何かがぶつかる音が。

 どうしたんでしょうか? ここからでは上の方が見えなくて……。


「わ! 何か落ちてくるよ!」

「あれは……フレンズさん!?」


 何か、いえ、カバンさんが言うに誰かが海へ落下する音が聞こえました!

 一体、何が……!?


 ~~~~~~~~~~~~~~~

 ~~~~~~~~~~~~~~~


 PPPぺパプ予告ー!


「今週はオジロワシについて予習するわよ! 飛んでいる時に背の高い建物にぶつかることがあるんですって」

「プリンセスみた~い」

「「「あー」」」

「ちょっとフルル!?」

「プリンセスさんは考えながら歩いてますから……」

「あれだ、ぶつかってるな。こう、ガンっと」

「ジェーンとコウテイまで!」

「あぶねーぞー、プリンセスー」

「き、気を付けるわ! 次回、“ふうしゃ”」

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