第14話胸騒ぎ

 30-014

翌日の(梨花)で「そうなのよね、媚びを売っては駄目なのよ」と独り言を言う花梨。

恵美子が「何よ、それ?」と尋ねると「内緒よ」と言いながら、常連客のお爺さん二人の前に行った。


しばらくして、渡辺がニコニコしながらやって来て「いらっしゃい」と優子が出迎えると「花梨さんを、呼んで」といきなり言う。

花梨が奥の客の処から来て「いらっしゃい」と微笑むと、紙袋を差し出して「似合うか判らないけれど」と言った。

「何?」と言うと「帽子ですよ、これから暑く成るでしょう?」と微笑む。

「こんなの、頂けないわ」と遠慮すると「他の人には貰うのに、私の物は受け取れないのか?」と恐い顔をした。

横から、優子が「貰っておきなさい」と宥める様に言った。

恵美子が、先日の話で持って来たのか?と腹の中で笑っていた。

もうすぐ、大藪さんも何か持って来るのか?と面白がる恵美子。

「どの様な帽子?」と優子が言うと、袋から取り出す花梨に「わー、メーカー物ね」と優子が帽子のタグを見て驚く。

栗色の髪を纏めている花梨が、そのまま頭にのせると「似合うわ」と優子が褒め称えるが、誰が見ても花梨には派手な感じがした。

褒められて上機嫌の渡辺は、満足顔て楽しんでラストまで店に居た。

大藪は予想に反して、今夜は店に来なかったが、近日中に必ず何かプレゼントを持参すると思う恵美子だ。


しばらくして、久しぶりに佐伯が水道課の人間とやって来て、ママが「ご無沙汰でしたね」と言うと「母が転んでしまって、病院に入院したのです」と答えた。

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