助演女優症?

全てを知った上で受け入れて

納得してここにいると

そう思っているんでしょ?

でも違うの我慢しているだけ。

おとぎ話でもでてこないよ。

そんな健気な女。

私あなたのなんなの?と

もっと早く聞いておけば、

こんな夜は来なかった。


あなたのものでもないのに

どうして今でも平気な顔で

わたしを抱きしめているの?



あずみちゃんはいい人だ。

恨む理由も何もない。

ただ尊樹の心に彼女がいるのは明確だ。

私はまた都合の良い女になってしまうのだろうか?

ユウスケに裏切られた時の事があたまを過る。

尊樹にもいつか捨てられるのではないかと、不安な気持ちになり憂鬱な気分になってしまう。

そう思いながらも

彼の部屋にのこのこついてきて

抱き寄せられてキスをする。

少しビールの苦い香りがする。

彼の指が下唇に触れたあと

もう一度唇をあわせて

彼の舌の感触を感じた。

首筋から香るシーブリーズの石鹸の匂い

耳もとで聞こえる吐息…。

二人でベットにころがりこむ。

うなじからながれるように唇が通っていき

シャツの間から彼の指先が…。

その夜も私たちは体を合わせた。


私は愛されている。

いや愛されているのか?

愛されようとしているのかな。

彼は過去をたちきって

私を愛そうとしているのかも。

私は?私はどうだろう?

私もいまだに何かにつけてユウスケと彼を比べている気がする。

私たちは二人とも人に愛されたくて、

愛を演じているのかな?

backnumberの歌にそんな曲があったなー。


「何を考えているの?」

「ん?いや…何にも。」

「ふーんなんか上の空な感じ。」

「誰が上の空にさせてるのかな?」

「な…!」

「なんてね。」

顔を真っ赤にしている。

そんな彼を見ているのは楽しい。

「私、ユニバ行きたい。」

「ん?いいよ。でも俺絶叫ものは乗らないよ。」

「いや乗らないじゃなくて、恐くて乗れないんでしょ。」

「はい、その通りです。」


なかなか休みが合わないから会うのは彼の部屋か外でご飯か。

考えてみれば、デートらしいデートもあまりしたことがない。


私は深く考えすぎかな?

体を合わせる愛もあるけど、

なんとなく初心に帰りたいというか、

高校生みたいな、

名前を呼び合うのも照れ臭い感じの

やわらかい感じの空気間を、

つないだ手から、

彼の体温を感じたくなった。

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