第73話 お節介
お節介な人が最近は少なくなった感じがする。それはそれで心休まる事なのだが、隣人に対する思いやりも一緒に無くなってしまった感もあり、気にかかる。
さてこの「お節介」の意味は「出しゃばって、いらぬ世話をやくこと。また、そういう人や、そのさま」というような事だが、「節介」自体の意味は予想に反して「節操を固く守って世俗に流れないこと」とのこと。どこで誰がどう取り違えたのか分からないが、節介が「おせっかい」に対する当て字であることは間違い無いようだ。
語源を調べるとすぐ行き当たるのが、せっかい(狭匙・切匙)の音からきた由来説。この「せっかい」は「すりばちの内側などについたものをかき落とすのに使う具。飯しゃもじを縦に半分に切ったような形のもの」だそうだ。別の記述に、半ぺんの製造工程で石臼ですりあげた鮫の肉を、型に盛る時に使う木製の篦(へら)を狭匙(せっかい)というものも出てきた。つまり、石臼の中から掻き出す辺りの様子を人の懐へ入り込んで要らぬ事をしている喩えということらしい。それにしても、かなりのこじつけ感は否めない。
ふうむ。節介な人が少なくなり、お節介な輩が増えれば、疎ましく厄介な事には違いないのだが、それにしても、お節介な人が皆無になってしまうのが、まったくの隣人無関心となってしまうのならこれはこれで考えものかも知れない。
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