第13話 物見遊山ということ

 物見高いのは江戸の常、とか言われるが、好奇心に勝るものは無いということと裏腹にしたいくらいだ。この物見という言葉は源氏物語あたりからちょくちょく使われていたらしく、物見難し、物見車、物見簾、物見台、などなど枚挙に暇が無い。平安時代、貴族間で使われていた単語が、江戸時代になると町民間へ流布されてくる、という言葉(=概念)が伝播していく時空的法則も見えてくるようで興味深い。


 更に「遊山」とつけば、もうこれは観光という概念の他はないが、貴族のように優雅に景色を愛でている余裕を持ちたいと思い焦がれても、現代はそうは問屋が卸さない。寧ろ限られた時間の中でそれこそ楽しめるだけ楽しむことがお得と言われる始末だ。うぅむ、江戸時代の物見遊山気分を手軽に味わうには物見難しということか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る