第12話 ぺんぺん草も生えない
ぺんぺん草。春の七草のひとつナズナ(漢字だと薺)の別名だが、名前の由来は莢(さや)が三味線の撥(ばち)の形に似ているからだそうで、ということは、三味線の奏でる音は「ぺんぺん」と聞こえるということなのだろう。
この莢というのはマメ科の植物の種子が入っている殻のことをいうが、これはアブラナ科。学名だとCapsella bursa-pastoris。カプセル状で、羊飼いの財布という意味らしい。なかなか趣向がある。
昔は道の端や広場でよく目にした。茎を揺すると莢同士が触れ合いペンペンと(聞こえないこともない)音を立てる。物足りないのなら、摘み取りいくつかの莢枝を茎から少し割きブラブラ状態にし、両手で挟む竹とんぼの要領で茎を回転させてみるとなかなか楽しい。
そんなどこにでもあったぺんぺん草さえ生えない場所など誰も相手にしない酷い土地である、というのが本来の意味だったのだが、果たして現代での意味は逆転しているような気もするなぁ。
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