第6話奴隷と女王様


民間ハローワークには色々な仕事がジャンルに分かれてある。


例えば、SMの仕事は人気である。


新人の神山斗真は不思議な世界を垣間見たことがある。


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どう見ても旦那が亭主関白で妻がおしとやかな夫婦が民間ハローワークに来た。


二人とも今の夫婦関係は良いんだがお互いに逆の立場になってみたいとの気分らしい。


旦那は、客の女王様にいたぶられる奴隷役をして


妻は女王様になり奴隷を叱咤し鞭で叩く役になった。


ランクはCランクだった。

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斗真が紹介したのは駅前にあるラーメン屋の二階の部屋だった。


「元締め佐紀さんはいらっしゃいますか?」


カウンターにいる髪の毛が鶏冠のような女に圭介は聞いた。


「あ、はい店長ですね。今呼んで来ます。」


意外と礼儀正しい。


完全に危ない雰囲気のお店に二人は萎縮してしまっている。


「おお!斗真!元気してたの?」


斗真を見るなり元締め佐紀は抱きしめてきた。


「はい。今日は仕事で。」


「仕事?そこの二人の事?」


「そうです。佐々木夫妻です。」


「良かったわ、ちょうど人が欲しい時だったの。」


佐々木夫婦は、天使のように可憐な元締め佐紀にビックリしている。


二人は、一週間のレクチャーを受ける事になった。


「あなたは汚いブタよ!さぁちゃんと身体中を洗い流しなさい熱湯で!」


温度は、高温で設定したので熱すぎる。


そこで元締め佐紀さんは更に蝋燭を垂らして鞭を入れた。


「ウギャン!」


と佐々木智久は叫んだ。


「誰が叫べなんてなんて命令したのこのくそブタが!」


と佐々木美紀子ー妻が鞭を鳴らした。


「フギャン!!」





二人は、メキメキと成長した。



飛ぶ鳥をも撃てるほどに…。



「斗真!わたし、斗真が好き!」


どんな展開だ?


斗真は、佐々木夫妻の様子を見に立ち寄ったら


元締め佐紀に告白された。


「付き合って下さい!」


「二日間考えさせてください。」


「うん。」


天使のような笑顔だった。





「二人は?」


「採用よ。二人とも才能があるわ。」


元締め佐紀は、ハッキリ言った。


「珍しいですね、元締めさんが褒めるなんて。」


「斗真が連れて来たのもあるけど二人とも自分自身を振り切ったからね。」


「振り切る?」



「人間にはMAXな状態があって普通はそこで成長が止まるのよ。」


「でも、佐々木夫妻はMAXを超えた?」


「そうよ、恥も外聞も捨ててシンクロしたのよ。SMというものに出逢って。」


そういう人間が羨ましいと斗真は思っていた。


まだまだ自分はMAXすら届かない。



「斗真、落ち込んでるの?」


「良く分かりますね…。」


元締めは、斗真を昼御飯に誘った。


隠れ家的なレストランに連れて行かれた。


「佐紀さんは、何でSMのお店を始めたんですか?」


「性の解放かな。」


「性の解放?」


「わたし、とっても厳格な家で育ったの…。父の決めた人と結婚する予定だった。でも…わたしその人がブリーフをはいているのを見ちゃったの…。ボクサーパンツかトランクスだったら結婚したと思う。」


「ブリーフ?」


「そう、それで結婚式場から逃げ出して知り合いのいるこの街に来たの。」


少しの間ポカンと斗真はしていた。

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