第4話死刑執行


明訓は、太った男を独自で見つけ出して警察に電話した。


太った男は、古田和弘という名前だった。


捕まえられた時も同じく太った男だった。


すぐに裁判にかけられた。


「あなたは、もう一人の青年を助けるために命綱を切ったんですね?」


「はい。」


傍聴席に座っていた明訓が


「嘘つき豚野郎!」


と叫んだ。


判決は驚くものだった。


「主文、これを無期懲役に処する。」


直接、殺した訳ではなく青年を助けるために命綱を切った…。情状酌量にあたりますがしかし、逃亡した事に罪を犯した自覚なしとして無期懲役とします。


裁判が終わって裁判官に明訓は問い詰めたがヒラリと彼の行き先は君の刑務所だねと呟いた。


裁判官は、好きにしろという意味を詰め込んで呟いてくれた。



明訓は、古田和弘の担当を任された。


腕立て90回


背筋50回


毎朝こなさせた。


古田は、明訓とは気が付かなかったらしい。


途中で腕立ても背筋も倍の数にした。



冬の風の強い日


明訓は、古田を連れて死刑執行の台に乗せた。


「あーゴンドラは揺れてたな。」


目隠しした古田と昔話をした。


「あんた、誰なんだ?」


「高田明訓だ。」


その瞬間、古田は尿が出た。


「悪魔と契約してたのか?」


「俺はただ恐くて…。」


「逃げた?」


「ああ、いや逃げた。」


「検察官、弁護士、そして裁判官のお許しが出た。あんたはこれから死ぬ。」





「でも、俺の判決は無期懲役のはず。」


「ああ、そのはずだったがみんなお前を見て心変わりをした。刑務所から出て来たら殺すとまで言われている。」


「ここで丁寧に死ぬか外に出て袋叩きにされて死ぬのはどっちが良い?」


「いきなり言われても…。」


「一晩考えるんだな。」



潔く散るか踏ん張るかの二択…。


初めて古田和弘は涙を流してワンワン泣いた。


そして次の日、古田和弘はドアのノブにタオルを巻いて自殺していた。


机の上には申し訳ないと書いてあった。

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