欠片の行方
草々緋美
フェネックの想い
「あなた、羽のかけらの子をお探しなの?」
「そーなのだ。アライさんから横取りしたのを追ってるのだ!」
カバとアライさんのやりとりを横で見ていた。
サバンナ地方でアライさんに久しぶりに会った時、「羽のかけらが奪われた!」と言われた。
前に会った時にはそんなものは持っていなかった。
もし持ってたなら自慢して見せてくれたはずだ。
それに手には紅いやつを持っていたのでてっきり寝ぼけているんじゃ?と正直思ってた。
この子は確認せず明後日の方向に突進してしまうことがある。
前も「じゃぱりまんが噴火した!!」と慌てて逃げて川に落ちたことがあった。
あの時はボスが運んでいたじゃぱりまんをぶちまけていただけだった。
「そういえば、この前サーバルと一緒にいた子が頭に羽のかけらを付けてましたわ。図書館に行く、とか言ってたかしら。」
「どういう方へ行きましたか?」
カバにフェネックは聞いてみる。
アライさんは勢い良く水に飛び込んでいた。気持ち良さそうだ。
「フェネックも入りなよー。気持ちいぞ~。」
「はいはい、後でね。」
ちょっとだけ耳が熱くなってるから気持ちよくしたかった。
「ゲートのところで会ったのが最後ですわね。その後どうしたのかはわかりませんわ。でも飛べないし泳げないみたいでしたわ。」
「ありがとう。」
「フェネック早くはやくー。」
アライさんに急かされてフェネックも入った。
二人とも泳げないけどここは深くない。
ただ、水浴びを終えるととても身体が重くなり動きづらくなることは分かっていた。
カバはそういうことがないらしいので羨ましい。
「ゲートから図書館に行くにはージャングル抜けるのが一番近道なのかなー。」
「えージャングル?あそこ歩きにくいし嫌いー」
「でもアライさん、羽のかけら探すんでしょ?」
「そうだったのだ!我慢で見えてくるものもあると言っていたのだ!」
時折、そばにいるシマウマが尻尾で水を叩くので水しぶきが飛んできて面白かった。横になっている大きな耳に水が当たって心地良い感じだ。
爪の間に入っていた土も取れて気分がよい。
最近またセルリアンが出てくることが多くなってきてる。
できれば会いたくないルートを選択したいな。
空を見上げてなんとなく方角を確かめた。
欠片の行方 草々緋美 @Kusa2_hibi
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