第17話 双頭のケルベロス


 トニーは自信満々の態度である。自分の行為が迷惑だなんて全く考えていない。

彼は、祖父デボルトの頃からアクィナス家に仕える古参の研究員で38歳になる。行動力に富み、ユニークな発想力を持つ人物だがそれを形にしきれない残念な人材である。後輩のフェデリコが主任に出世し家族と共に此処で生活しているのに対して、未だ独身。


「あの実験体は俺のものだ。此処では昔から研究員が自腹でゾンビを製作する事が認められている!」


「トニーの言うことはわかるよ。でもさ、オーナーのトニーのコントロールが効かないんでしょ?」


「む、むう」


「なんか大きいし、牧場の方に向かってるしさ。なんか被害が起きたらどうするの?」


「細かい事いうな!先代のデボルトの頃から此処は技術革新第一だろが!俺は先代の頃から勤めてるんだ!お前の生まれる前からな!」

 

「トニーがお父さんより長く勤めるのは知ってるよ。でもさ、あの実験体まともに動いてないよ。そのくせ双頭で変にデカイしさ」

 トニーは此処に勤めて20年以上になる。最古参なのだ。


「あれは、新しい可能性を秘めた新鋭兵器なんだよ。あの芸術性は女子供には分からん!」


「あのゾンビが芸術作品なの?」

 ミリアにとってゾンビとは父ナザリオが作り出す高品質で人様の役に立つ商品だ。もし兵器であるとしても、彼女の実家が扱うものは現実的で洗練されたものだ。トニーの芸術は本当に理解できない。


「そうとも、町でフリージングされたタイガウルフを2匹購入してな。大いなる実験で、ドラゴンを作る事にしたんだ」


「あれドラゴン?タイガウルフでしょう?」


「ふふ、2体のタイガウルフの素材で作ったケルベロスさ。材料の関係で三つ首には出来なかった。だがその真価はドラゴンだ!」

 

「何言ってるか全然わからないよ。タイガウルフってイレナのお店で買ったの?」


「いや、お嬢さんの友達からじゃない。俺の伝でね。2匹で銀貨50だった!」

 通常ならタイガウルフなら一匹80はする。

 トニーは古参でもあり、良くも悪くも行動力があるので色んな人脈がある。そのパイプを生かして素材を手に入れたらしい。


 ただ、魔物商がゾンビ屋にフリージングされた動物を売るときは生け捕りにし損なった場合だ。ミリアの友人の店で買ったら20と少しで買えただろう。

 トニーがそれを知らないはずが無いのだが、おそらくいつものロマンとかに酔って購入したのだろう。


「そして、見た目は胴体の大きいケルベロスだが、体内にブレスのギミックを収蔵している」


「ブレスって?」


「もちろんファイヤーブレスだ!しかも双頭のな!」


「馬鹿じゃないの!?」

 ミリアは耳を疑った。

 制御できないゾンビが火を吐く?

 この農場で火災など起きたら大変だ。沢山の生き物を飼育しており、沢山のゾンビの使用人が働いている。

 そして、春には子羊だって子馬だって生まれてくる。今農場では出産ラッシュを迎えようとしているのだ。

 

「もういい。これ壊すからね。トニーさんもベテランなんだから、暴走するゾンビ作らないでよ!」

 本来ならミリアは関与したくない。だが、実家が火事になる危険を放置できない。目の前の火を吐くゾンビを制御できてないのだ。

 ベテランの仕事とは思えない素人くささである。現実よりも理想を盛り込んだ設計だからだろうか?


「壊す?」

 そういって、トニーはミリアを挑戦的な目で見る。

 はっきりいって38歳のオッサンが15歳の小娘に向ける視線ではない。


「前回みたいにあっさり破壊できるかな?」

 トニーは以前にも、自腹でキメラゾンビを作りあっさりとミリアに破壊された過去がある。その時も、無理な設計によりゾンビが暴走した為の処置である。 


 この世界では、ある程度の知識を持った者が、魔力と材料や資金を持ち寄れば簡単にゾンビが作れる。そして、術者によりデザインされた新形態の擬似生命体も作れるので古来から研究が繰り返され、禁忌ともされていた。


 ミリアはトニーの発言の意味がよくわからない。どう考えてもトニーの自業自得なのだ。まだ15歳の彼女には努力する凡才の怨念など理解できるはずもない。


「あのね、ミリア。あのゾンビの皮膚だけどね、かなり丈夫なのよ。だから素手じゃ危ないよ。ナザリオ先生を呼んだ方がいいかも」

 ドロテアがミリアに忠告してくれた。

「私が此処に来る前にミリアがあのオッサンのゾンビ壊したんでしょ?掌底打ち一発で。あのオッサンかなり根に持っているよ」


 確かにミリアには覚えがあったが、何も家族でお出かけする日に嫌がらせをされる謂れは無い。

 大人しいミリアにも、ふつふつと怒りが沸いて来る。

 

「左様。軍事用ゾンビの開発故、かなり頑丈な作りになっております」

「然り。一つの身体に魂を2つ載せているのも、その為だとか」

 アルドとコージモの凸凹コンビも忠告してくれるが、、、


「二人はあのゾンビの標的が私だって知ってたの?」

 彼ら二人はトニーの恨みの原因を間近でみている。


「「すいません!」」

 一瞬、素に戻って素直に謝る二人である。


「作っているうちについ楽しくなってしまって」

「左様。夢中になっていました」

 つい楽しくて徹夜で作業していた二人も、それがミリアを怪我でもさせる可能性がある事をようやく理解したようだ。


「天賦の才に恵まれたお嬢様でも素手では危ないです」

「然り。あれはゾンビの形をした移動砲台ですから」

「左様。分厚い装甲と双頭の火砲を備えております」


「危ないって言っても、武器なんか無いよね?」

 

「無いです。このケインくらいしか」

「師匠を呼んできましょうか?」

 コージモは手に持った棒をミリアに示す。

 ケインとはゾンビを躾ける為の細い棒、鞭である。


「いいよ、今日はこれからお出かけだし、すぐ壊しちゃうよ」


「だから、一人じゃヤバイよ」


「一人?違うよ」

 ミリアはドロテアの言葉を訂正した。


 彼女は目線を足元に向ける。

「ワン!」

 そうミリアは一人ではない。

 彼女には、騎士スベンが共にいるのだ。


 ミリアはまずスベンに、次に自分の体内で魔法を結ぶ。

 それは、総合的な運動能力、そして物理と魔法の防御力を同時に向上させる。

 予め幾つかの魔法を束ねて発動できる彼女のオリジナルスペル。


 この世界の戦士タイプの人間は同様のルーティンを必ず持っている。前衛職が多い彼らは魔法の取捨選択に迷う暇がない。突然の敵襲などで身体張って対応しなければならないからだ。その時、とりあえず使える魔法が欲しいのだ。必然的にそれは自身の強化が一義的になる。


 スベンはミリアが自身に掛けてくれる魔法が好きだ。

 誰にも負けない気持ちになる。

 そして、自分に魔法をかけているミリアが好きだ。

 魔力光に満たされ、癖毛が上方へ巻き上がっている様は神々しく美しい。

 スベンは大好きなミリアへの敬意で満たされる。

 絶対にミリアを守るのだ!


「よし!行くよスベン!」

 ミリアのオリジナルスペルの効果時間は60秒。

「ワン!」

 ミリアとスベンは一分の間に勝負をかける。


 ミリアはスベンと共に無造作に実験ゾンビに向かう。体長3メートル肩高150cmほど、かなりの大きさだがまともに動けない。だが、分厚い皮膚が装甲になり双頭がブレスを吐く砲台となっているモンスターだ。


 ケルベロス風の移動砲台と化したゾンビは蠢いている。

 朦朧とした意識の中でかってタイガウルフだった記憶が残る。

 その記憶の中で、彼の身体はこんなに大きくなかった。

 こんなに重くはなかった。

 なにより、すぐ隣にいるこいつは誰だ?離れる事も近づく事もできないのに、間違いなく隣に居る。

 だから彼はずっとイラついていた。

 まともに歩くこともできないのだ。

 そして、二つの魂は同時に気が付いた。

 戦意を持って近づく人間の存在を。

 タイガウルフとしての過去がその危険度を認識する。


 獲物の感情を嗅ぎ取ったスベンは猛然と吠え掛かりながらゾンビの正面に立つ。

 それはゾンビの側面から接近するミリアへのサポートだ。

 獲物の悪意は全てスベンが受け止める。

 激しく吠える事で獲物の意識を引き付ける。

 スベンのデコイスキルである。

 剽悍に攻め掛かりミリアへ悪意は一ミリも向けさせない。


 スベンの働きでゾンビに隙ができた。

 ミリアは数メートルの距離を瞬時に飛び込み、前肢の脇から心臓に向けて掌打を加える。

 移動エネルギーを余さず攻撃力に変えたミリアの動きは中国拳法の寸勁のようにも見える。

 だが、それは似て異なるものだ。

 ゾンビに物理攻撃は効かない。

 心臓にダメージを通しても意味がない。ゾンビは呼吸も心臓も止まっている。魂から満ちる魔力が全身を巡って肉体を操っているからだ。


 ミリアの掌打も物理ダメージを狙ったものではない。

 ゾンビ屋の娘であるミリアはゾンビの魂が集うバイタルゾーンを知っている。

 そこに勁ならぬ魔力を叩き込んでいるのだ。

 魂の形を崩されたゾンビはたちまち行動不能となる。


 体長3メートルもあるゾンビは一瞬で崩れ落ちた。


「凄い!一瞬だよ!!」

 ドロテア初めて見るミリアの能力に舌を巻いた。

「あの分厚い皮膚に魔力を通すなんて!」

 あのゾンビの装甲となる皮膚はドロテアが作成したのだ。


 体内で魔法を結び自身を強化する事は誰でもできる。

 だが、その結果は歴然として違う。

 魔法という技術もやはり才能による優劣は明確に存在する。



「まだだ!これくらいは想定済みだ」 

 トニーが憤然としていう。前回もこれで倒されたのだ。対策をしていないわけが無い。

 才能に恵まれない者が工夫しなければならないのは、何処でも同じだ。

 


 そしてミリアも異変を感じ取った。

 すぐに距離を取って様子を見る。


 するとすぐに変化が現われた。


 ケルベロスが再び立ち上がった。そして、その動きから明確な意思が感じられる。緩慢な動作がしっかりとした物へと変化していた。


 ミリアの打撃により魂の一つが弱体化し並列化していた魂に序列ができたのだ。それは、出来損ないのゾンビをケルベロス型のゾンビへと変化させた。

 ケルベロスは自らに打撃を加えたミリアを敵と認識した。

 すぐさま攻撃準備に入る。

 ゾンビは回頭してミリアの姿を正面に置こうとする。

 双頭の火砲の攻撃範囲にミリアを置こうとしているのである。


 全身の統一性を獲得したケルベロスに再びスベンが襲い掛かる。

 ゾンビがミリアを狙っている事を悟ったのだ。

 スベンは大型狼の鼻先に牙をむく。

 ギリギリで噛み付かない、スベンのフェイクなのだが、タイガウルフの意識は激怒する。

 誇り高いタイガウルフである自分に、格下の犬が挑みかかってくる。絶対に許せない暴挙だ。

 その怒りはミリアの存在を忘れさせた。

 ゾンビ特有の朦朧とした意識も手伝い、またもスベンの挑発は成功した。


 そのスベンが稼いでくれた隙に、ミリアは今度はケルベロスの下半身に近づく。


 先ほどの攻撃でミリアは悟っていた。


 目の前の不恰好なクリチャーは、2体のタイガウルフを無理やりくっつけている。そして魂の篭るであろう心臓付近に何か、おそらくブレスのギミックが防壁を兼ねて仕込まれている。

 つまり、側面からの掌打は効き目が薄い。

 そして、ゾンビの背中に乗っての打撃は脊椎が邪魔する上に下半身のパワーを上手く打撃に乗せられない。


 だから、下半身を狙う。

 なんの強化もされてない左後肢の膝、重い体重を支えて踏ん張っている膝だ!

 ミリアの掌打がゾンビの膝を打ち抜く。

 今度は純粋な打撃力。

 ゾンビは物理攻撃には強いが無敵ではない。死肉を操っているだけなので、強化していなければ、普通に破壊する事は可能だ。

 痛覚をもたないゾンビには決定打とはならないが、自重によりさらに左膝を破壊してしまい左下肢は使用不能になる。


 ミリアは打撃を加えた後、跳躍してゾンビの巨体を飛び越し、さらに身体を捻って今度はゾンビの右側に着地する。

 魔力による身体能力の強化に生来の高い空間認識能力がこの奇跡を可能にする。

 ミリアは平然と行っているが、いくら魔力で筋力を強化してもここまでの身体能力を引き出せる人間は滅多にいない。

 魔法のある世界でも、それを十全に引き出し、さらに高い効果を示して見せるのは才能を持った一握りの人間だけだ。


 ミリアは着地するやケルベロスがミリアを認識する前に右側の頭部、その顎を下から掌打で突き上げる。

 それは、打撃ではなくゾンビの身体を起こすのが狙いだ。

 ミリアは頭を跳ね上げると即時に右前肢を掴んで持ち上げる。


「うんしょ!」


 ミリアの掛け声ともにケルベロスの巨体は横転した。

 ちなみに、その巨体は300キロはある。


 ミリアは一瞬で間合いを詰めた。

 剥き出しになった腹部側から掌打を打ち込む。

 何の防御策も取られていない腹部側から、体重と魔力、もしかしたら勁も込めた一撃である。

 

 ミリアの一撃の破壊力はゾンビの体内を縦横無尽に駆け回り分厚い皮膚の装甲とブレスギミックはそれを体外に逃がさず増幅した。


 それはゾンビの体内にある二つの魂を粉砕する。

 ケルベロス型移動砲台とやらは、一度も火を噴くことなく破壊された。



「凄い。アレをひっくり返すなんて」

 ドロテアは素直にミリアの技量に感歎した。


「左様。腹側には何の強化もしていない事を察したようです」

「然り。あの体型では転がしてしまえば動けない」


「とは言っても、無理だよね。私が腕力強化したって絶対無理」

 ドロテアの言葉は魔法という技術は才能により歴然とした差を生む事実を示している。

 


「然り。お嬢様の天賦の才の賜物だ」

「左様。我らの心配など杞憂だったな」


 一人だけ、違う期待をしていたキッカが残念そうに呟いた。

「ああ、一度もブレスが見れなかったぁ」

 このゾンビのブレスギミックは今年此の地にやってきたばかりの彼女の製作だったのだ。

「もう、途中でオーナーのプロトコルが使えたんじゃないんですか?」

 キッカはトニーに不満を漏らす。彼女のドラゴン愛を利用して協力させたのは彼に他ならない。決して、誰かを傷つけたいわけではない。彼女は純粋にブレスを吐くところを見たかったのだ。

 

「無理いうなよ。ブレスを吐くチャンスなかっただろ?」

 実際にブレスでミリアを攻撃するわけにはいかない。トニーはケルベロスに気絶させられるまでは、その暴走を必死に止めようとしていたのだ、今回の暴走は彼にとっても事故である。

 まあ、実際ケルベロスはミリアもスベンも攻撃可能範囲に入れる事ができなかったが。


「だが、止めるチャンスならあったろう!」

 トニーに向かってミリアがスベンを従って近づいてきた。

 確かに、途中でケルベロスは意思統一していた。その状態ならオーナーであるトニーの命令は届くのだ。


「いえ、その、見惚れておりまして、、、」

 ミリアの雰囲気はいつもの優しい少女のそれではない。

 トニーはこのミリアを知っていた。

 その卓越した身体能力と共に精神面も変化する事を。


「は?私やスベンを焼け死ぬところを?」


 今、ミリアは魔法を使った高揚感の残滓の中に居る。


 魔法を体内で結んだミリアはその体内で発現しつづける魔力がエネルギーを放出しつづけ、同時に魔法の効果として身体に影響を与え続けている。

 魔法を能くするミリアは、魔法の影響も強く受ける。

 15歳の彼女はまだまだ修行が足らないのである。

 普段は家族思いで、愛犬家の大人しい娘だが、オリジナルスペルの魔力の副作用で戦意が高揚している。今の彼女の心は益荒男のそれだ。


「アルド。コージモ。念のためゾンビをフリージングしておいて」

 そう命令しながらコージモからケインを受け取るミリア。

 ケインとはゾンビを躾ける為の細い棒、鞭である。


 前回の事件の顛末を知っている二人は、ミリアの下知にすぐさま応じる。

 ドロテアとキッカは初めて見るミリアの変化に戸惑い、本能的にトニーから距離を取った。


「ああ、すまなかったなミリア。俺のゾンビも壊れた。もちろん弁償しろとは言わない。これで一件落着といこう!」

 トニーは、ミリアに意趣返ししたい気持ちは確かにあった。

 だが、さすがにガチで命を狙うわけが無いのだが、ミリアから見るとまともに被害を回避するために努力したようには見えない。

 今回の件は彼の設計の甘さが招いた事故である。大人の彼は責任を取らなくてはならない。


「これで済む訳あるか!」

 言うなりミリアはトニーの顔面を張り飛ばした。

 小柄なトニーは吹っ飛ばされる。

 ミリアは本能的に手加減はしているがトニーは脳震盪寸前である。


 それを見ていたスベンは主人の攻撃許可と受け取る。

「ワン!」

 一声だけ吠えるとスベンはトニーに襲い掛かった。


「ひぃぃぃ!」

 スベンにボロボロにされるトニー。

 動きが止まったところでミリアが服を剥いて背中を露出させる。

 ここはケインを使う場面だ。

 従業員の躾の為にケインを正しく使う。


 それを察したドロテアとキッカは大急ぎでアルドとコージモの手伝いに走った。此の場に居るのを避けたかったのだ。


 

 ゾンビの研究に熱心すぎたという理由はあるにしても、危険な軍事用ゾンビを暴走させればただで済むわけが無い。

 普通なら私刑でも何処からも文句が出ない。


 例え38のオッサンを15の小娘が鞭でボコボコにしようと、それは温情溢れる甘すぎる処置である。


 だが、トニーの行動力と発想のユニークさはなかなかである。

 彼の話に全ての研究員が徹夜で協力しているのである。設計が甘いとの評もあるがそれ以上に魅力が無いと誰も協力しない。


 例えば、ドラゴンゾンビの代用として他の生物を使い、複数の魂を並列化させるのは悪くない。

 元々物理攻撃には強いので魔法耐性の装甲を装備させ、他の兵種と組み合わせれば実戦に耐える強度になるかもしれない。複数の魂を用意しておけば魔法攻撃にもある程度耐えられることになるし、すぐに再始動できる事もわかった。

 ただ戦力になるかどうかは、攻撃手段のブレスギミック性能が必須になる。ケルベロス型移動砲台のギミックはトニーが自腹を切ってキッカに製作させている。

 ブレスをゾンビの兵装として考えた場合、自立的に機能できなければ意味が無い。その為、どの程度の性能かは結局未知数である。


 そもそも、ドラゴンは死体となっても価値が高いので、屍術業者には利用価値の高い死体は回ってこないのだ。そのため、もし、ドラゴンゾンビを製作しようとすればかなりの費用になるだろう。

 

 トニーは魔法での能力がものを言う世界でなく、日本に生まれていれば持ち前の行動力と発想力で活躍できたかもしれない、残念な人なのである。


 


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