推理のすき間
草々緋美
解決編
「よって犯人はあなたなのです。」
ビシッと犯人を指差した。
かっこよくきまった、と正直思う。
何もかも完璧だ。
犯人からの回答はない。これで確定だ。
「あのー、そうじゃないと思いますよー、アミメキリンさん。」
依頼主のアリツカゲラから回答が飛んできた。
「いいや、間違いないのだ。夜になくなったのだから、夜行性のフレンズが犯人。なのに近くにはフレンズがいなかった。」
「それはそうかもしれないですけどー。」
「つまり残るは夜も動き回るラッキービースト、あなただけなのだ!」
もう一度ビシッと指差す。
が、回答はなかった。
「だって、ボスがやるわけないじゃないですかー。じゃぱりまんなんて食べないですよ。」
「そんなことはない。何故ラッキービーストがじゃぱりまんを運んでいるのかといえば、自分が食べたいからなのです。」
推理はできあがっていた。
「でも証拠がないですよ。」
「当然なのです。普段から運んでいるから特別な証拠などは付かないのです。」
ラッキービーストがこちらを交互に見ている。でも回答はなかった。逃げるのを諦めたようだ。
事件は今朝起きた。
夜に補充されたじゃぱりまんが朝になって減っていたのだ。
ここ、ロッジにいるのは、ロッジの管理人のアリツカゲラと、泊まってるアミメキリンわたしのみ。
そこに夜に帰ったはずなのに現れた朝現れたラッキービースト。
「犯人は現場に戻ってくる物語なのだ。」
「そういわれると、そうかもしれませんが。」
アリツカゲラは考え込んでいるようだ。
相変わらずラッキービーストは答えない。
何か言ってくれると盛り上がるのに残念だ。
「あれ?」
アリツカゲラが隅の方に向かっていって何か拾った。イスの陰になっていてよくわからない。
「なんでこんなところにじゃぱりまんが?」
拾い上げたじゃぱりまんは、テーブルのカゴに乗っているものと同じようだ。
減っていた1つに違いない。
「これで証拠もそろっ、て?」
「どうしたんですか?」
首を傾げてこちらをアリツカゲラが見ているみたいだ。
でも私が見ていたのはテーブルのカゴ。
昨日と全然じゃぱりまんの位置が違っていた。
そして、少し離れたところに落ちていたじゃぱりまん。
ここから導き出される推理は。
そういえば、少し寝て起きたときに何かぶつけて落としたような気がする。
それを拾い上げて元に戻したような気も。
「どうかしました?」
「それよりも、もうちょっと周りを見てみましょ。何かあるかも。」
「何かって何があるんですか?」
推理通りならもう1つ、この部屋にあるはず。
見つけたら謝ろう、そう思ってボスの方を振り向くと足元に見つけた。
やっぱり犯人はラッキービーストじゃないか!
犯人は間違っていなかったのだ。
推理のすき間 草々緋美 @Kusa2_hibi
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