幕間#1

 夜。

 明かりが点けっぱなしなとあるの一室で、くみなの甘い声が響く。

「むう……好き……好きっ……好きぃ……だぁりん……!」

 ベッドの中のくみなは、ジュンに覆い被さり、何度も激しく唇を重ね合わせていた。

 髪を解かないままの2人の裸体が重なり合い、くみなのふくよかな胸がジュンの胸板に押し付けられる。

 ジュンはくみなの思いを受け止めるように、細いくみなの背にそっと回す。

 しばし重なり合っていた唇が離れると、未練がましく2人の息が吐かれた。

「はあ、黄金比ボディなくみなは、何度抱いても飽きないね……しかも最近、どんどんかわいくなってないかい?」

「ふふ、だぁりんは最近お疲れ気味だからね。だからくみながたーっぷり、癒してあ、げ、る」

 太陽のようににこりと笑い、再びジュンと唇を重ね合わせるくみな。

 再び口付けられたジュンは、満足そうに笑みを浮かべ、くみなの金髪を優しく撫でる。

「ありがとう。そういうくみなも、無理してないかい?」

「へ?」

「明日のショーの事だよ。はしなに先を越されて、本当は悔しかったりしないかい?」

 きょとんとした顔をするくみな。

 そんな彼女とは対照的に、ジュンは寂しそうな表情を浮かべる。

「本当は君と2機揃えて、飛ばしてあげたかった……でも荒ツバサがそれを許してくれない……しかも明日はツバサ神の保護もある、また戦いになるだろう……君と2人でショーデビューしたいのに、俺は君を戦わせてばかりだ……本当にすまない……」

「だぁりん……」

 ジュンの懺悔にしばしぽかんとするくみなであったが、

「もーっ、何かと思ったら……」

 すぐにくすりと笑うと、ジュンの頬へ優しく口付けた。

 目を覚ましたように、ジュンが目を見開く。

「くみな、知ってたよ。だぁりんがそうやって、いつもくみなの事で悩んでる事。でも大丈夫。ショーデビューは、焦らない事にしたから。まあ、ちょっとはしなとはその事でケンカしちゃったけどね」

「何だ、少し前に機嫌が悪かったのは、そのせいかい?」

「えっへへ、当たり……」

 恥ずかしそうに苦笑するくみな。

「それに、くみな達の負担を減らすために、仲間を探してくれてるんでしょ? 歴代の自衛隊戦闘機を5機揃えたら、荒ツバサを消し去れる力を得られる、だっけ? くみなはそんなだぁりんのためなら、例え火の中水の中なんだから」

 再び太陽のように笑むくみなは、そっとジュンの右手を左手で握る。

 重なり合った薬指には、お揃いの金色の指輪が付けられている。

 それには、『92-7937』という数字が刻まれていた。

「……そうだね。くみながいつも通りそう言ってくれるなら、俺も安心できるよ」

「えっへへー、そりゃどうも」

 ジュンの表情が安心で緩んだのを見て、にかっと笑うくみな。

 すると、くみなは誘うようにジュンに再び顔を近づける。

「くみな、いつも気遣ってくれるだぁりんの事、大好き。でも心配のし過ぎは健康によくないよ? だぁりんはただでさえ食べないんだから」

「ふふ、そうだね。確かにエネルギーの無駄遣いだ」

「そ。だから、くみなの事心配してるなら、明日のためにも、ちゃんと力を、ちょーだい?」

「わかった。愛してるよ、くみな」

 2人は再び、熱く唇を重ね合わせる。

 重ねた右手と左手を、強く握り合いながら。

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