第3話

親父が浮気ばかりしていたからか、母親はいつも綺麗にしていた。

近所では有名なお洒落な存在で、

親父が海外出張に行く度に舶来の化粧品や香水やらを土産で持って帰ってくるのを楽しみに待っていた。

ファッションセンスはズバ抜けた感覚の持ち主で、

人とかぶらない事をモットーとした奇抜なセンスだった。

一番印象的だったのは中学校の入学式にキャデラックから出てきた母親は香港であつらえた真っ赤なチャイナドレスにマフィア顔負けのいかついサングラス、

ロングの毛皮コートという一張羅で現れた。

私立校の入学式の親の中でもそりぁもう一番色んな意味で目立つ人だった。


小学生から水泳をしていた俺は“大阪の飛び魚”と新聞に囁かれたりしていた。

高校にプールが無いと知った母親は学校にプールを寄附という形で設置してくれた。

学校では有名な人となっていた。


親父と母親はそういう感じで、

家には夕飯を作ってくれるおばちゃんの家政婦と俺が道端で偶然拾った雑種犬のチコとヒゲという2匹と三歳下の弟といつも夕飯を食べて育った。

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