9#悪夢の鉢合せ
別の日だった。
俺は、サツマイモを食い荒らす巨大イノシシを捕らえる為に全国の猟友会が徴集をかけられたみたいで、僕も参加することになった。
「おっ!!」
「ああーーーーーーーっ!!」
僕は、この前にカイザーの正体を喋ったあのビーグル犬のセルパと鉢合せしてしまった。
「ねえ、君。『名うての特定外来種専門』って言ってなかったっけ?」
「おい、ポチぃ!!ざけんじゃねーよ。俺はパートナーの面子を立てる為に来たんだ。
どーしてもあの巨大イノシシに懸けられた賞金の為にな・・・!!」
ビーグルのセルパの体は武者震いか、緊張か解らないが、ブルブルと震えていた。
・・・困ったなあ・・・
・・・もし、僕らがあの巨大イノシシを追いたてる時にあのカイザーが現れたら・・・!!
・・・何せあの巨大イノシシは、カイザーの因縁の敵だから、絶対にやって来るに違いない・・・!!
ポチやセルパだけでなく、他にも猟犬を連れたハンター達がゾロゾロとやって来ていた。
ばうっ!ばうっ!ばうっ!ばうっ!ばうっ!ばうっ!ばうっ!ばうっ!!ばうっ!ばうっ!ばうっ!ばうっ!ばうっ!ばうっ!ばうっ!ばうっ!ばうっ!
「こいつらも、俺らと同じ賞金目当てってか?よくぞまあまあ・・・」
ビーグル犬のセルパは余裕しゃくしゃくで、垂れ下がった耳元を後ろ脚で掻いて苦笑いした。
「あーもう巨大イノシシの奴早く追い立てたいぜ!!
おい、ポチ。ちょっと耳を貸せ。ここだけの話だけどな・・・」
セルパは、ポインター犬のポチの垂れ下がった耳にヒソヒソと耳打ちした。
「何であの巨大イノシシが猟師の中で『ブーセン』と言われてるか知っとるけ?
あいつ、実は『風船デブ』らしいからだぜ?
あいつに噛みついたらパンクするか、空気が抜けて普通のイノシシのサイズになったりしてな・・・」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!
「ええっ?!」
「なにっ?!」
「まじか!!」「心の準備はまだ出来てないのにィ!!」「散策もなしか。」「俺の鼻は役立たずか?!」「パートナー!早く指示を!!」
ハンターを連れて猟犬が巨大イノシシを見付けるより先に、巨大イノシシの方が真っ先にこっちに轟音を立てて爆走してきたのだ。
「ぷぎーーーーーーー!!ぷぎーーーーーーー!!ぷぎーーーーーーー!!ぷぎーーーーーーー!!ぷぎーーーーーーー!!」
「あれっ?イノシシの後ろに誰かが噛みついてる・・・」
1頭の猟犬が指摘してきて、ポチが反応して振り向いたとたん、背筋が凍った。
巨大イノシシの背中に1匹の飢えた黒ブチのポインター犬が噛みついて、イノシシは振り払おうとスピードを出してめちゃめちゃに右往左往していたのだ。
「か、カイザー?!お前!!なんでここに!!」
ポチのパートナーは必死にくらいつく、元相棒のカイザーを見て思わず叫んだ。
「カイザー!!あの時は追い払ってごめんな!!このイノシシは、お前が行方不明になってでも倒したい相手だったのは解った!!
このイノシシを倒したら、今度はこのポチと一緒に・・・」
・・・あいつが実は生きてて、人様に被害を加えてると知ったとき、俺の手で見付け次第あいつを葬らなければとつい・・・
「はっ!!」
ポチのパートナーは、カイザーが寄ってきた時に銃で追い払った時にポチに言い聞かせた言い訳を思い出した。
「カイザーじゃん!!こいつカイザーじゃん!!」
ぽん。
パートナーは、カイザーとの突然の再会に気が動転しているポチの頭を撫ながら、何を思ったか突然萎んだ風船を口で大きく膨らますと、ポチに縛った吹き口をくわえさせてこう言った。
「お前の友達のカイザーと、この風船で遊んでこい!!」
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