私立多胡中央学園のかなりズレた人々
あさかん
第1話「木田航平の幸福論」
―――注意―――
主人公は傍観者として会話文が一切出ません。
他キャラの反応や、地の文から主人公が何を喋っているのかをなんとなく察してください。(特に気にする必要すらありません)
――――――――
「なぁ達也、達也。ちょっと今幸せについて考えてみたんだが」
俺に話しかけてきたのは、この学園で恐らくアカン奴代表選手であろう
授業中にも関わらず、前の席に座る航平は尻は微動だにしていないのに上半身はキッチリ180度回転させていた。絵的に凄くキモいからやめて欲しいと常々思っている。
恐らく奴は授業中=私語厳禁という学業ルールを未だ理解していない。
というか、学校が何するところか理解しているかどうかもかなり怪しい。
「俺が考えるにだな、幸せというのは……」
不味い。担任で現国の教師である
黙れ航平、前を向け。
俺は学級内の平和の為に忠告するが、基本無意味だ、無価値だ。
航平が気にもせず更に身を乗り出したところで、ティーチャーのピクピクがワナワナへと変化。
「……いい加減にしろ、小僧共」
俺まで対象者に含まれるのは理不尽ではあるが、いつもの事なので諦めよう。
「……3つだ。3つ数えるまでに静かにしろ」
「5!!」
まさかの5カウント。
うちの担任は怒りの沸点が低くく、沸騰すると日本語がかなり怪しくなる特性をもつ。
「よn――」
「先生!待ってください!!」
上手い。航平が上手く被せたことによって意表を突かれた担任の怒りゲージはリセットされた。
担任の沸点は低いが、意外とすぐに素に戻るのもポイントだ。
「なんだ、木田航平」
「幸せについての俺の持論を聞いてくれ!!」
「よし、言ってみろ」
何故喰い付く?
そして、航平はちょっと幸せについて考えてみたって言ってたのに、いつの間にか持論になっている。
「俺たちが戦争のない時代で平和な国に人間として生を受けたってのはもの凄く、限りなく奇跡に近い確率の上にあるのではないだろうか!!」
うん、なるほど。言いたい事はわからんではないが多分今語ることでは無いと思う。
「だから俺たちはその奇跡に対し、与えられる物や出来事に不満を持たず、 今という一瞬一瞬の普通の日常に幸せを感じることこそが、真の幸福であると思う!!」
航平は周囲と比較しても結構不幸よりな境遇にあると思われるのだが、お前が思考的にかなりハッピーな奴だということは理解している。
が、今それを熱弁しなくてもいいと思う。
「ふむ、木田航平の主張は実に尤もである。が、満点の答えではない」
個人の私感に満点も糞もねえよ。
「真の幸福とは素敵な家庭を築くことだ!!」
それはただの
もういい加減、授業から脱線するのはやめてもらえませんかね?
「本当よね、不愉快だわ」
「ああ、全くだ。理解に苦しむ」
俺を挟んで両隣に座る
この様子だけだと、まともな生徒に見えるかも知れないが、騙されてはいけない。
俺は彼らもアカン奴という部類でカテゴライズをしている。
「真の幸せとは祐樹そのものよ」
「真の幸せとは姉さんそのものだ」
特に姉の方は委員長という役柄もあってか騙されやすいので気を付けてほしい。
おっと紹介が遅れたが、俺は
自分はかなりズレた奴らが
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