第4話
俺は遥 彼方。
どうやらこの学校は今地球には存在しないらしい。
隔離ってのはつまりそういうことだろう。
休日に学校なんて来るからこうなるんだな。よし、今度から気をつけよう。
『理解出来たようですね。では、本題に入ります
ーーこれから始まるのは、1ヶ月間のサバイバル』
『襲い来る脅威を討伐し、日々の糧として最後まで生き延びることが出来れば
あなた達を元に戻してあげましょう』
さばいばる…おそいくるきょうい…これでもかってくらい命の危険を匂わせている。動けるようになったらまずは…楓と合流しないといけないな。
『とは言ってもあなた達のほとんどが今現在の段階では脅威となる魔物に成すすべなく蹂躙されてしまうことでしょう』
『そこで神である私から祝福を授けます。
…身体を動かせるようにしました、それぞれ手元の端末を確認しなさい』
…ひどいマッチポンプを見た気がする。祝福っていうより呪いじゃないのか、無理やり戦わせるための。
右手にいつの間にやら握られていたスマホ型の端末をタップすると、
《うぇるかむ!》
と表示された。
なんだかとてもイラっとした。
《そーりー(・ω・`)》
舌打ちに反応したのか。無駄にハイテクだが、その顔文字で余計イラっとする事は予想がつかなかったのか。
《めにゅー(´・ω・`)つ》
〈ステータス〉!
〈アイテム〉使用不可
〈ショップ〉使用不可
〈掲示板〉使用不可
次いで表示されたメニュー欄がほとんど使用不可なんだけどナニコレ。
否応無くステータスを選ばされると、ゲームのように俺の情報らしきものが表示された。
遥 彼方
人間Lv.1
筋力 25
耐久 30
知力 23
精神 41
俊敏 57
運 3
ポイント φ
スキル
称号 φ
なるほど、わからん。
『私の祝福はお気に召したでしょうか。それでは手始めに、各教室に一体ずつ魔物を放ちます。あなた達はチュートリアル、と呼ぶのでしたね』
『私を失望させないように』
その言葉を境に、何かが途切れた感覚があった。どうやら放送はこれで終わりらしい。教室を出て、楓の元へ走る。
身体が動かせるようになって直ぐに出ようとしたのだが、不可視の壁に阻まれてしまったのだ。放送と同時に壁は消えた。
通り過ぎた教室から悲鳴が上がっているような気がしたが構わずに階段を駆け下りた。
一つ下の階に1年生の教室がある。
嫌な予感が絶えなかった。自称神の放送が始まってから、ずっと感じていた。
何かが起きる、そんな確信めいた予感を。
違和感について考えながら階段を下りきった俺の間近で空間が俄かに発光し、そこから伸びてきた剣が俺を襲う。
どう対処するか、考える前に身体が動く。振り下ろされた剣の切っ先がギリギリ届かない間合いで攻撃を躱すと、敵が追撃を加えるため剣を振り上げたその瞬間に剣を追いかけるようにして間合いへ踏み込んだ。
その際、手を敵の剣の持ち手に添えている。再度の振り下ろしに合わせて後ろへ振り返りながらぶん投げる。あら不思議。剣が俺の手にあるので、背中から落とされた苦痛に呻いている敵にトドメを刺した。
すると、魔物は燃え尽きたように灰になり、俺が手に持っていた剣も何かに吸い込まれるように消えた。
ピロリロリン。
不意に出現し、奇襲をかけてきたのは赤色の小鬼。これが神の言っていた襲い来る脅威、魔物なのだろう。
こんな狭い空間で刃物を振り回すとは実に危険な生物だ。
あまりに違和感なく技を行使出来たことに多少の疑問は覚えるがそんなこと今はどうでも良い。
楓の元へ急がなくては。
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