第15話 そして火星へ
祭りだ。街の大通りをパレードが通る。住民は道の歩道から大声援をあげていた。パレードの神輿にはツルツルの人が乗っていた。ツルツルの人は手を降って大声援に答えている。街のビルから垂れる垂れ幕には「ツルツル人火星遠征旅行必勝祈願万歳」などと書かれていた。
神輿は街の中央の公園に仮設されたステージの前に止まった。神輿から下りたツルツルの人はステージの上に上がった。ツルツルの人が両手を振り上げると大歓声がそれに答える。
「ありがとう。ありがとう」
ツルツルの人が言うと歓声は静まっていく。
「私には夢がある」
ウワーっとまた歓声が上がる。
「私には夢がある。五億年も夢見た夢だ。それが今日この時にかなおうとしている。私は今から火星に行く。そこで新しい世界を開拓しようとしている。そこには私たちが今まで出会ったことのない世界が作り出される事であろう。まだ見ぬ世界。私たちはそれを求めている」
ウワーっと歓声が上がる。と、頭上に光る物体が下りてきた。ウワーっと歓声が上がる。円盤状の物体だ。
円盤状の物体は公園の仮設ステージの横に下りた。円盤状の物体に穴が開き、中から誰か出てきた。宇宙服を着ている様だ。しかし、不思議な事に手と足の数が多い様に見える。その誰かはステージの上に上がりツルツルの人の前に立った。そして一礼する。つられて一礼するツルツルの人。マイクの前に立ったその誰かは、
「こんにちわ。地球の皆さん。私は宇宙人です」
と言った。
そして会場は静まり返る。
「なんちゃって」
宇宙人がそう言うと、円盤の中からダンスチームが走り出してくる。そしてステージに並んで踊りだした。ウワーっとまた歓声が上がった。
祭りであった。
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