第13話 メイドロボット

 十三の猿。

 彼らの一人が新しく開発した素材を仲間に説明している。

「この薄い板だが、これに熱を加えると、この様に曲がる。瞬発力がある曲がり方をする。これを冷やすと元に戻る。この素材を筋肉の様にして腕を作ってみた。素材に加える熱には電気を使っている」

 クイッと腕が曲がる。

「この腕の力は君たちのお母さんほどあるよ」

 お母さん?十三の猿人は買い物袋を抱える母を思い浮かべた。

「僕はこの素材を使ってロボットを作ろうと思う。メイドロボットだ」

 十三の猿達はメイドロボットの開発に成功した。その動きは生物の様であった。人工知能はツルツルの人から技術援助してもらった。

「さあ、家の掃除をしろ」

「はい、ご主人様」

 その様にメイドロボが素直に働いていたのは三日ほどだった。

「おい、家を片付けておけと言ったのに、仕事をしてないじゃないか?」

 メイドロボはソファに座ってテレビを見ていた。

「ご主人様、だって、お給料も出ないんじゃ、やってられませんわ」

 このロボットの人工知能には学習能力がついていた。

 人間の様に動けるロボットはすぐに全世界で作られ始めた。人工知能があるロボットは人間の様であった。しかし、怠け者だ。給料をやらないと働かない。

「わあ、あの新しいCPUにアップデートしたいわあ」

 こんな時は少し一生懸命に働く。

 ロボットの腹には充電電池が入っている。彼らは腹の電気が減るとコンセントから電気を得た。電気さえあれば動けるのだがらあまり金を儲ける気が無い。

 怠け過ぎたロボットは電源が無くなると予備電源のスイッチが入り、その予備電源でコンセントまで辿りつく。

「このガラクタを捨ててこい」

 ロボットはあまり社会に受け入れられなかった。第一の原因は地下の家が狭いのでロボットがあると邪魔なのだ。さらに働かないので邪魔だ。雇い主が居ないロボットは電気泥棒などをして人々に迷惑をかけた。

 知能があるロボットを打ち壊してしまってもいいのだろうかという議論が起こった。そしてロボットにも人類の法律を使用する法が決まった。ロボットにもちゃんと給料が支払われる様になった。その頃からロボットたちも心を入れかえて生活するようになった。

 ロボットの数が増えていった。ロボットがロボットを生産していた。増えすぎたロボットは地上に出て行きロボットの国を作った。そしてロボット文明が起こった。電力を最大限に得るためにロボット達は宇宙を目指している。

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