第12話 氷河期の地下生活
氷河期がやってきた。
太陽の活動が少し弱まっていた。彗星が太陽に衝突した事が原因だと考えられる。地球にたくさん降り注いだ流れ星も大気温度の低下した原因だと思われる。
夜空には宇宙にあるチリがキラキラと輝いていた。太陽光が地球の周りを漂う宇宙チリに当たって散乱しているのだ。
地球の公転が少しずれた事も氷河期の原因だと思われる。
月の公転もずれた。
彗星が太陽系にやってきた事は色々な変化を地球にあたえた。その結果、氷河期がおとずれたのだ。
「それでも赤道の方はけっこう普通らしいよ」
人類は地下に住んでいた。
大きな穴が街の中心に開いている。その穴の上に光をとおすプラスティック製のドームがあった。
地下は地上に比べて暖かい。地熱がある。
彗星群がやって来たときに掘った穴を使い、氷河期になってからの地下文明はすぐに盛んになった。
「まあ、南国までとはいかないが、ここも住むには悪くないさ」
ゴリゴリと光取り入れドームに付着する氷を掃除する二人。
「昼飯は何にする?」
「そうだなー、キノコバーガーにするか今日は」
地上からの光を取り入れて地下ではキノコが栽培されていた。野菜も栽培されている。野菜栽培に足りない光は電気で補っている。
「おーい、こんにちわ」
と声がする。
狩人達が帰ってきたようだ。
「おお、お帰り」
「今日はマンモスがいたぜ」
「マンモスが出てきたか」
「マンモス食ってみてえ」
アレーゼの大地では大きな虫と恐竜はほぼ全滅した。大きな木は枯れて倒木していた。そのかわりに新種の哺乳類が出現した。そして哺乳類は少しずつ大きな種類が出現していた。
「地球の神様も適当だよな」
針葉樹の若木が大きな倒木の間から伸びている。大きな倒木にはコケが生えていた。
「アミーズ様」
ウルガクナシヤがあわててやって来た。
コンピューターのモニターを見ながら大魔導士アミーズは
「んん?どうした?ゾンビでも出たか」
と言った。
「奥方さまが産気づきました」
ガタガタゴッシャーンと大魔導士アミーズは椅子から転げ落ちた。
「病院病院」
大魔導士アミーズは部屋を慌てて出ていく。
あわてている大魔導士アミーズを見てツルツルの人が
「どうしました?ゾンビでも出ましたか?」
と言う。
「生まれるみたいだ。ツルツル、産婦人科に行くから輪タク呼んできて」
それを聞いてツルツルの人は全てを理解する。
大魔導士アミーズが女王の部屋に着くと、
「いたいいたいいたい、きたきたきた」
と女王が大きなお腹を抱えていた。
「ハニー、大丈夫かい?」
大魔導士アミーズが女王の肩を抱く。
「馬鹿、ハニーじゃないわよ。いたいいたいいたい、病院病院」
女王は輪タクに乗せられて産婦人科へと向かった。
大魔導士アミーズと女王が結ばれたいきさつ。
大魔導士アミーズがある日女王をデートに誘ったらしい。
「ねえ、僕とキノコをつみに行きませんか?」
と誘ったらしいのだ。
それで女王が大魔導士のキノコを摘んでしまったのだと酒場では言われている。
氷河期に入ってから大魔導士アミーズの趣味はキノコの繁殖だった。彼は大きなキノコ農場を作りキノコを栽培していた。その趣味はビジネスになり、彼のキノコ工場は他国にも広がった。
今では誰でも言う「敵にキノコを送る」とは彼がテレビの宣伝で言ったフレーズだ。
大魔導士アミーズは大キノコ会社のオーナーになった。彼の発言は政治にも影響をおよぼすほどだ。
「はい、お父さん」
看護師が大魔導士アミーズにハサミを渡した。
「え?」
「はい、これでヘソの尾を切ってあげてちょうだい」
子供のヘソに白と紫色のスパイラルしたコードが繋がっている。
「え?俺はいいです。看護婦さんお願いします」
「ダメですよ、お父さんがやってあげなきゃ」
本当に切ってしまって良いのだろうか?
「うわああああ」と心で叫びつつ大魔導士アミーズは勇気を出して子供のヘソの尾を切った。
「あ、たかし君。久しぶり」
たかし君は久しぶりに隣の家のお姉さんと会った。
お姉さんは赤ちゃんを抱っこしている。
お姉さんはたかし君に微笑みかけてから実家の家の中へと入って行った。
お姉さんはまるで別人のようだとたかし君は思う。お姉さんはもう前と同じお姉さんではないのだ。お姉さんが別の世界へ行ってしまった気がした。
たかし君は少し寂しくなった。
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