第5話 事件2

それからまた私たちはラブラブしていた。

前よりも仲が深まったような気がする。

でも最近、優は顧問の先生とどこかで話をしているようだった。

このことを昌に聞いても海に聞いても優に聞いても何も教えてくれない。

私は気になって仕方がなかった。

優は話をして帰ってくると、一直線に私の元に来てくれる。

たまにからかったように「俺の愛する雪ちゃん」なんて言いながら。

「今日、一緒に帰ろ!」

いつも一緒に帰っているのに、なんでわざわざ許可とるのかな…と私は思いながら頷いた。

「手、繋ぎたい」

優が言った。いつも繋がないから驚いた。

久しぶりの優の温もりにホッとしながら2人で歩いた。少し後ろには、昌と海の姿があった。

「あのさ、落ち着いて聞いて?」

私は青ざめた。別れるって言われるかと思った。

「う、うん」

必死に平然を装う。

「俺…来週の土曜日の中体連を最後に、バレー部に転部する」

ショックだった。目の前が真っ白になった。

「…え?」

こんなに幸せだったのに。バレー部なんて行ったら、練習もキツイし、一緒に帰るなんてできなくなってしまう。

「嫌だ…なんで?」

「実は、雪と復縁出来なくなるって思って…なら、部活から出てった方が良いって思って…雪から言われる前の日に先生に転部するって言っちゃったんだ。取り消せれば良かったんだけど、もう遅くて…」

優が泣きながら言った。

私は不思議と涙が出てこなかった。

「そっか…私が言うの遅かったね。バレー部か、カッコイイじゃない!いつも卓球やりながら見てるね。帰れる時は帰ろ?来週の中体連…最高なものにしよ?」

無理矢理笑顔を作って、務めて明るく振る舞った。

そして笑顔で家に帰るために分かれた。

歩く優の背中を見つめながら、気づいたら涙が頬を伝っていた。

「そっか…優…」

「雪!」

後ろから昌と海が走ってきた。

「良かった。優が言った通りだよ」

海が呟いて、私にティッシュを手渡してくれた。

「雪に言わなきゃダメなことがあるんだ」

そう言った昌の顔はいつにも増して真剣だった。

「優が転部する事知らなかったの、雪だけなんだ。優が、雪には心配かけたくないから言わないでってみんなに言ったんだよ」

私は言葉を失った。

「優…が?」

「優は別れてからもずっと雪のこと気にしてたよ。雪今日どうだった?笑ってた?楽しんでた?って」

私はてっきり嫌われたのかと思ってたのに。優の優しさに涙がまた止まらなくなった。

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難恋 @koioto

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