第4話 1人

次の日からの部活はまるで地獄だった。

別れても、普通に話しかけてくれると思っていた。でも、優はこちらを見てもくれなかった。

まだみんなに別れたことを言っていない私たちは、いつも通りいじられた。

でもいつもと違う様子に気付いて誰よりも先に声をかけてきたのは昌だった。

「雪。ちょっと」

人気のない教室に連れ出された。

「優と、なにあった?」

「…別れた」

言った瞬間、泣いてしまった。

「なんでだよ、喧嘩か」

昌には全てお見通しだった。言わなくてもわかってくれた。そして頭を撫でて抱きしめてくれた。

私はふと思った。昌が彼氏なら苦しまないのかな。

「昌…私、優を嫌いになった訳じゃないの。優が、この前みたいに私のせいで傷付けられてるのを見たくなかっただけなの。」

私の気持ちを全部話した。

「わかってるよ。優も、あの様子じゃ…まだお前のこと好きだよ。」

そう言ってくれた。

しばらくして涙がおさまってから2人で部活に戻った。

「お前ら何ラブラブしてきたんだよ〜!」

海がからかった。それを見て昌が何が耳打ちして海を怒った。

「ラブラブとか、そういう問題じゃねぇよ」

この話をしている時、優は一瞬だけチラッとこちらを見た。

でもすぐに目を逸らしてしまった。

辛くて、悲しくて、なんで別れちゃったんだろうって思った。

それから、3ヶ月後。

「お願い、優と2人きりで話したい」

私は昌と海にこう頼んでいた。

もう1度付き合おう。告白しよう。そう思った。

もう季節は冬。12月に入って一週間もしていない頃。私たちは2人で帰ることが出来た。本当に久しぶりで、話すのも久しぶりだった。

「あ、あの…」

「ん?」

私は静かに深呼吸した。

「急に呼び出したりしてごめんね?」

「いいよ」

なんだか返事が素っ気ない気がした。もう好きじゃないかもしれない。彼女がいるかもしれない。私に怒ってるかもしれない。そう考えたら、なぜか涙が止まらなかった。

「えっ?!なんで…泣いてる??」

優は慌てた。

「優っ…私、別れてからずっと…つらくて…だからまた…付き合ってほしいの…」

そう言った瞬間、優に抱きしめられた。

「良いに決まってんじゃん。言うの遅いよ。嫌われたかと思ったよ」

優も待っていた。私が言い出すのを。嬉しくて嬉しくて、涙が止まらない私に優は微笑みながら眺めて、そして…初めてのキスをした。それが私のファーストキスだった。

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