【特集】今からはじめる「ケモノプロ野球リーグ」。野球に飢えた人も、飽いた人も。(後編)

 前編の記事では試合開始前に抑えておくべきことを書いた。後編では試合開始後の話を中心に紹介していきたい。


l| チームカラーが見えてきた、ケモプロ六球団


 ところで前編で説明が漏れていたので、選手入場にあわせてケモノプロ野球リーグ(以下ケモプロ)の六球団を、記事執筆時点(2/6)の順位順にざっと紹介しよう。


 (写真:豪快なスイングを放つゴリラ)

 /*これが大正義ゴリラだ!


 一位。東京セクシーパラディオン。タレント揃いの強豪チーム。雨森あめもりゴリラ(マウンテンゴリラ)を筆頭にした強力打線、エース光林こうりんダディ(マンドリル)を中心にした投手力。ビジュアル面でも北露路きたろじ王子オウジ(ヘラジカ)と果森かのもりロージィ(オジロジカ)のカップルが人気だ。


 (写真:王子が猛アピールするも、冷めた目つきで反応しないロージィ)

 /*めげない王子とデレないお嬢様。


 ここ最近はやや調子を落としたのか後続に追いつかれつつあるが、それでも不動の一位チーム。東京勢、セクシーはらやまユーザー、とにかく強いチーム好きな人にオススメしたい。


 (写真:ベンチであくどく笑うアライグマ系おっさんとミーアキャット系男子)

 /*だいたいこいつらのせい、いや、おかげ。


 二位。電脳カウンターズ。ここ最近特に調子のいいチームで、二位に単独浮上してきた。監督兼指名打者の川軒下かわのきしたイグマ(アライグマ)、捕手の岩荒いわあらミカド(ミーアキャット)の采配が、嫌らしくも機能するチームだ。パラディオンに劣らぬ打撃力も持ち合わせている。


 (写真:バンザイして打球を後ろに逸らすクマ男子二人と、飛び込みが足りずに打球の取れないクマ男子)

 /*親の顔より見た光景。この後、仲良く川の字になります。


 一方守備はセンターラインが課題だ。セカンド雲洞うんどうテルクマ(メガネグマ)、ショート高枝たかえだマグマ(マレーグマ)の二遊間は、ゴロには強いがフライにはめっぽう弱い。そしてセンター林上りんじょうクマサン(ナマケグマ)は反応が鈍く……テキサスヒットの発生率はリーグナンバーワンだろう。


 (写真:真っ黒なりんご)

 /*これがダークナイトメア(りんご)だ。


 三位。青森ダークナイトメア。中堅といったところか。だが投手力に関してはリーグトップだと言っていいだろう。エース夜山よるやまノヴァク(ハクビシン)、霧乃きりのガル(クロヘミガルス)の先発二枚看板に、中継ぎの森川もりかわママン(ヌママングース)、抑えの幹成みきなりドイル(ロスチャイルドヤマアラシ)と隙のない布陣が揃っている。……全体的に黒っぽい選手が多いが、見た目でドラフトしたわけではないと信じたい。


 (写真:ゴロを威嚇のポーズでトンネルするオオアリクイ系男子)

 /*投手力はあるが守備力にはやや問題あり。


 打撃ではパワー系女子の大川おおかわクロゼ(ブラックバック)……よりその後に続く指名打者の黍園きびぞのツネゾウ(クロキツネザル)がキーマンだ。クロゼが長打で出て、ツネ蔵がきっちり返すのが得点パターン。この二人で点が取れなければお話にならない。もう一人注目するとすれば、やたら人の怪我にからんでくる破壊神こと黒枝くろえだロロちゃん(スローロリス)だが……いや、彼女に悪意はない、はずだ。


 (写真:ものすごく手間をかけて加工されたツツネの笑顔)

 /*ツツネさんかわいいよツツネさん。


 四位。伊豆ホットフットイージス。このところ調子を落として二位の座を明け渡してしまった。ショート兼監督の瓦ノ下かわらのしたツツネさん(ホンドギツネ)率いるチームだ。チームワークと守備力に関してはどのチームにも負けない。そしてツツネさんがかわいい。再婚してほしい。


 (写真:ツツネを中心としたケモノ女子の集まり)

 /*みんなかわいいけどツツネさんが一番だよね。


 守護神の灘島なだしまマヤちゃん(ツシマヤマネコ)、リーグトップの打てる捕手乾原かんばらココロ様 (ジャイアントアンゴラ)。他のチームがうらやむようなタレントもいるのに、なぜ最近勝てないのか……やはり先発の高竹たかたけアカ(レッサーパンダ)の炎上芸……いや、温泉水おんせんすいバラスケ(カピバラ)の短気……砂南すなみなみブチマル(ブチハイエナ)の暴走……だいたい男子選手のせいじゃないか? ツツネさんのためにもがんばって勝利してほしい。ツツネさんの笑顔が見たいから。


 (写真:ベンチに座るダイトラとラビ太)

 /*ベンチに出てくることが少ない主役? だ。


 五位。島根出雲ツナイデルス。「獣野球伝 ダイトラ」の主人公、捕手の山茂やましげみダイトラ(マルタタイガー)が所属するチームだ。所属するが、捕手は高原たかはらルーサー(アルパカ・ワカイヤ)というイージスのココロ様に次いで打てる正捕手がいるので出番はない。……ないはずなのだが、ルーサーはどうも負傷退場する運命にあるらしい。そのため打てない、消極的プレー、適当リードのダイトラが、ルーサーの不在中にマスクをかぶることになるわけだ。


 (写真:空振りするダイトラ)

 /*捕手に打撃まで期待するのは酷とはいえ……。


 守備は左右に大きな穴がある。鈍足ショートの土屋つちやドーラ(ブタ・バークシャー種)、とにかく下手なライト庭野にわのメリー(ヒツジ・メリノ種)……守備で頼りになるのはサード灘島なだしまマテン(ツシマテン)だけだろう。ちなみにマテンはイージスのマヤちゃんの従兄にあたる。この従兄妹、スペック高すぎ。妹は元OLなのに兄は元忍者とかどういう家系なんだ。

 パラディオンは能力の高さから来る個人主義のようなところが見て取れるが、ツナイデルスは名前の割りにアクの強い選手が多くてチームがまとまっていない。ツナゲナイズと呼ばれないようがんばってほしい。


 (写真:飛び上がって捕球するサーバルキャット系男子)

 /*これがサーバルジャンプだ!


 六位。鳥取サンドスターズ。ツナイデルスがパラディオンに先日三連勝したせいで追い抜かれてしまった。総合的にまとまっている……というか飛びぬけたところのないチームだ。パラディオンの大正義ゴリラに次ぐ成績を、指名打者の西伯サイハク(シベリアオオヤマネコ)が残しているはずなのだが、目立たない。ファーストの原南はらみなみサバノブ(サーバルキャット)もファインプレーが多いのだが、目立たない。


 (写真:ベンチで戯れるケモノ女子たち)

 /*イージスに続いて女子選手が多かったりもする。目立たないが。


 終盤にハラハラしたい人にはぜひオススメしたいチームである。熱砂ねっさニコブ(フタコブラクダ)、高草たかくさキンタ(ケープアラゲジリス)と完投型投手がきっちり投げてくれる日はいいが、継投でくる日は抑えの谷砂たにずなオカン(オオカンガルーネズミ)に注意したい。このオカン、サインを見ないのだ。とにかくポンポン投げる。キャッチボールのごとく、それも大雑把に。かーちゃんやめてくれよ!


 ……以上が、ケモノプロ野球リーグに所属する六球団だ。お好みのチームは見つかっただろうか? よく分からないという人は、とりあえず筆者と一緒に伊豆ホットフットイージスを応援しよう。



l| 試合を見るための便利な機能


 さあ試合開始だ。選手がフィールドに散り、バッターボックスに打者が入ってくる。カメラ視点は前編で紹介したとおり好きなものを選べるが、自動カメラが優秀なのであまりいじることはないだろう。見るものはリアルの野球と変わらない……ことはない。ケモプロでは選手の思考がグラフィカルに表示されるのだ。


 (写真:バッターボックスに立つツツネと、思考表示吹き出し)

 /*ツツネさんは過去の配球から次をアウトハイと読み、踏み込んで流し打ちしようと考えている。


 これが見ていて面白い。バッテリーが悩んだ末に出した結論、それをバッターが読みきっていたときの次の投球の緊張感といったらない。配球も「コイツは内角が苦手だから」とか「さっきは上手く釣れたし、もう一回」と考えているのが分かると、ただ単にコンピューターが投げているのとは違う感覚がある。将棋の感想戦を逐一やりながら進行している感じだろうか? いや、将棋AIは指し手の意図を教えてはくれない。そう考えるとケモプロはAIゲームの次のステージを示しているのかもしれない。


 (写真:守備中にサインを出すツツネと、思考表示吹き出し)

 /*ツツネさんはスクイズを警戒し、タカネとライに前に出るよう指示している。


 さて、前編で言及したとおり、ケモプロにはゲームの機能としての(パワプロのような)実況音声はついていない。これまではユーザーの作った実況動画を裏で流すしか、クライアントでの視聴と実況音声は両立しなかったのだが、先日のアップデートでそこが改善された。細かいことはとにかく、さっそく実況を聞く方法を説明しよう。


 (写真:実況音声のリスト一覧を開いた場面)


 上図の実況視聴ボタンから、実況音声のリストを開くことができる。リストは実績順、登録者数順、視聴者数順、新着順、ランダム等で並び替えが可能だ。迷ったら実績のトップを見るか、公式チャンネルの配信者を検索で探そう。チャンネルをワンクリックで実況音声が流れ始める。「実況アバター」をオンにすれば、実況席がワイプ表示されるので、それを見るのも楽しい。


 (写真:実況アバターが立ち上がって叫んでいる場面)

 /*地味に、実況の遅延が解消されたのも嬉しい。実況機能もケモプロと一体化したおかげだ。マイクさえ持っていればワンボタンで実況・配信・録画までできてしまう。


 実況以外に知っておきたい機能としては、「リプレイ」だ。さっきのワンプレーを見逃した……そんなとき、リプレイボタンを押せばすぐに見返すことができる。ワイプ表示するか、リアルタイムの方をワイプにするかは選べるので好きな方を選ぼう。


 そしてクライアント版(とブラウザ版、スマホアプリ版)ならではの機能が、「成績表示」だ。気になる選手の成績をすぐに参照することができるほか、条件を絞って記録を出すこともできる。今のプレーは新記録なのか? を一発で確認できるのは野球好きにはたまらないだろう(もっとも、まだリーグが始まって一年目なので、新記録はあってないようなものだが)。



l| ここは球場。絶対球場


 1月のアップデートで応援団が実装され、応援曲も演奏されるようになった。球場の騒音を聞きながら、売り子のお姉さんにビールを注文し、(アバターが)喉を潤しながら試合を観戦する。


 (写真:売り子のケモノからビールを渡されている場面)

 /*一覧メニューからも買えるが、この方が絶対情緒がある。ちなみにドリンク類はフレーバーなので無料だ。乾杯!


 ここはもう球場だ。そうとしか思えない。VRモードを使うともうドップリとケモプロの世界に浸ってしまう。ケモプロは最高の球場に行けるゲームだ。

 なんたって天候不順による試合中止や延期がない。ゲーム中の天候は開催地のものを参考にしているものの、プレー可能なレベルに引き下げられて反映される。


 (写真:はらはらと雪が降り、うっすらと積もる球場)

 /*1月の東京の大雪でも、屋外スタジアムにも関わらず試合は行われた。


 雨が降る中選手たちがプレーする。それを応援するアバターたちも濡れる……が寒くない。ゆうゆうビールを飲んで応援できる。いくら飲んでも酔わないし(ついつい、リアルでもビールを空けると酔うが)。ファールボールが当たっても痛くないし。これがリアルだったら筆者はさっさと引き上げている。



l| 試合後も楽しい、ケモノプロ野球


 試合が終わる。ヒーローインタビューならぬヒーロー撮影会が行われ、フィールドから選手は消えていく。これで今日のケモプロはおしまい……ではない。2月3日のアップデートから「選手控え室」が公開されたのだ。


 (写真:ツツネを中心とした女子選手たちに囲まれて、ソファで小さくなっているカピバラ系男子)

 /*バラ助ェ! そこを代われェ!


 試合前も公開されているが、試合後の方が見ていて面白い。ロッカーから出てきた私服の選手たちを愛でることができるからだ。着物を着たツツネさん、たまらん。

 さて選手控え室では、選手の交流が見られる。エラーをした選手を励ましたり、ファインプレーについて盛り上がったり、練習について意見交換をしていたりとその内容は様々だ。仲の良し悪しも見て取れて面白い。イージスは和気藹々としているが、ツナイデルスはこう……さつば……サバサバしている。

 プレイヤー不在のガンパレードマーチというと年季の入ったゲーマーには伝わりやすいだろうか。ここでも会話内容のみならず思考内容が表示されるので、交流を見ているだけで面白い。選手控え室の特集記事は【こちら】にあるので、ぜひご覧いただきたい。


 やがて選手たちはバスで帰っていき、球場は閉館される。これで球場での試合観戦は終了だ。



l| 何度でも見返せる! 写真だって盛れる!


 リアルタイムの試合観戦の模様は以上だが、ケモプロは過去の試合をいつでも見ることができる。動画に録画が残っているのは当たり前だが、クライアントでは試合データをダウンロードして、さらに実況音声も(許可している実況者のもののみ)ダウンロードして再生することができる。リアルタイムの試合中とほぼ同等のことができるのだ。フレンドとなら一緒に再生してチャットを使うこともできる。


 (写真:土を巻き上げつつ、ボールをダイビングキャッチするツツネ)

 /*うつくしい……。


 この機能で筆者のような記者が嬉しいのは、フォトモードが使えることだ。最近のゲームにはだいたい搭載されるようになってきたが、完全なリプレイからフォトモードに入れるゲームは珍しい。360度あらゆる場所からカメラを動かし、光源を調節できるフォトモード。やたら「盛れる」フィルターも搭載されていて、軽く触るだけでもそれっぽい写真が撮れてしまう。この記事に使った写真もすべてこの機能で撮影したものだ。


 さらに過去の試合はキーワードでシーン検索することができる。お気に入りの選手の活躍の場面だけ流し続けることも可能だ。動画配信版ではダイジェスト動画の編集もされているから、見ていない試合もすぐに把握できる。筆者のデスクトップの一部をケモプロが占有し続ける理由は察していただけただろうか。



l| 野球に対する想いを確認できる、ケモプロ


 試合が終わり、アバターはマイルームに帰ってくる。このマイルームはゲットしたホームランボールや、売店で買ったタオルやユニフォームを飾るほかに、家具でカスタマイズできる。アバターに着せる服も購入可能だ。セクはらブランドなので着こなしが難しいが……いかにも部屋着という感じではある。


 (写真:古臭いブラウン管テレビ)


 アバターに部屋着を着せ、ちゃぶ台の横に座らせる。14型ブラウン管テレビ(有料アイテム)で今日行かなかった試合を再生し、アバターにビールを飲ませる。


 こうしていると、昔の家の様子を思い出す。あんなに嫌いだった野球中継を、こうしてゲームの中で見ている自分……もしかしたら、いやきっと、本当は嫌いではなかったのだ。それは急にチャンネルを変えるという強権を振りかざす父親への反発だったのだろう。


 あれからおよそ二十年。父親の年齢に近づいた筆者は、ケモプロのおかげで再び野球を見るのが好きになった。


 願わくば本稿で興味を持って、伊豆ホットフットイージスを応援してくれるファンが増えてくれることを。


――――――――

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