何もない

何もない

私には、何もない


大切なものがない

守るべきものも、守りたいと思えるものも

守ってほしいと言ってくれる人もいない、知らない


金もない

田舎育ちが十代の終わりに東京に出てきた


夢もない

かつて抱いた憧れと野心はとうの昔に朽ち果てた


趣味もない

趣味を持とうとはすれど、いつもすぐに飽きて


特技もない

いつも履歴書の欄を埋めるのが苦痛だった


何もない私には、何もない

自分に自信が持てないの


一端に仕事をこなせこそすれ

人に勝るところなんてない


一体何を糧に生きていけばよいの?

多くの人が解いた課題に、未だ太刀打ちできず

歳を重ねるほどに、自分の無力を感じるの


何もない

本当に何もないのよ

明るい未来も、誇れる過去も、語れる現在いま


要らない物で溢れた部屋の片隅で

私は今日も泣いているのよ

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メンヘラ女が吐き捨てたコトバ、または詩のようなナニか 速水大河 @taiga

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