〔 お嬢さまの社会見学 〕③
いったい何者なの? 危険な人物かもしれないわ。わたくしたちは恐怖で
でも、奥から出てきた人物は、ツル禿げで、痩せた、白い
ブッシュマンのように裸足で
「ここは立入禁止地区じゃ、さっさっと立ちされい!」
厳めしい声でお爺さんが怒鳴った。その声にみんなは縮み上がった。
そ、その時ですわ! いきなり鶴代さんが叫んだ。
「
「……ん?」
「亀ちゃん、あたしよ」
「おおー! あんたは
「亀ちゃん、懐かしい」
「――鶴ちゃん、おぬしも達者そうじゃあのう」
そう言いながら、ふたりは再会のハグをしている。
鶴代さんと旧知の仲とは……このお爺さんはいったい何者かしら!?
「婆や、その方はどなたですの?」
「お嬢さま、この方は
「ええぇ―――!?」
これには、わたくし驚きましたわ。父の
ずーっと行方不明だったのに、まさか生きていたなんて……?
「じゃあ、この方はわたくしの
「そうでございます。お祖父さまの兄上の亀仁さまでいらっしゃいますよ」
裸足で腰蓑をつけた変な老人を、
「この子は是仁の娘か? ほほう、なかなか美人じゃなぁー」
「大伯父さま、初めまして。わたくし
わたくしはスカートの裾を摘まんで片足を曲げ、貴族のお姫さまみたいに、ご挨拶を差し上げました。
「わしは長い旅に出ておったからなぁー、何もかも変ってしまったわ」
そういうと
この奇妙な老人に麗華は興味が湧いてきました。名家の令嬢が
「大伯父さま、ご質問申し上げても
「ふむ、何じゃ?」
「わたくし、行方不明の大伯父さまは死んでいると父から聞いておりましたの。まさか元気でいらっしゃるとは驚きましたわ。――なぜ、わたくしの両親の結婚式やお祖父さまが亡くなった時にも、蟻巣川家にお戻りになられなかったのですか?」
その質問に大伯父さまは困ったような顔で答えた。
「……そうなんじゃが、帰れなかったのだ。是仁の結婚式の時、わしはモロッコで
「大伯父さまって、そんな風に世界中を歩き回っていらっしゃるの?」
「そうじゃ、わしは冒険家なのだよ」
自慢そうに、白い山羊髭をしごきながらいう。
「どうして、名門蟻巣川家の当主の座を捨てて冒険家になられたのか、
「――そうか、少し長い話だが聞いてくれるかのう?」
「はい! 喜んで」
わたくし大伯父さまの話にわくわくしました。うふふっ
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