"三十秒で読める"『煙草の香り』

カクアレカシ

煙草の香り


まだ手袋がないときつい早朝そうちょうに駅前を歩いていると、その冷たい空気の中にふと煙草たばこの匂いがした。鼻腔びくうを刺す独特どくとくな香り、だんだん意識が覚醒かくせいしてくる。

東の空がしらんできた。あぁ、たまにぐには良いもんだと体に悪いことを考えている。朝日からさす光線が雲にさしてまふしい。あと数十年後にはこの匂いをぐことができなくなるのかと思うと少しさみしい気がした。

ふと私が煙草たばこを吸っている情景じょうけい脳内のうないに浮かんできた。これは笑える。つくづく似合にあわない。

だんだんと駅前に人が増えてきた。そろそろ退散たいさんしないといけないな、もう少し余韻よいんひたりたかった… 街の喧騒けんそうから逃げるように私は家に帰った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

"三十秒で読める"『煙草の香り』 カクアレカシ @Kakuarekasi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ