第禄話『異世界へ』

なんだかんだありまして、


黒廼と学校へ初めて行った日から一週間が過ぎた。


今は授業とSHRショートホームルームが終わり、

皆々帰る準備をしている所だ。


黒廼は皆と随分打ち解けた……


「黒廼ちゃ〜ん!これから僕と一緒にお茶しなぁい?」


「私……には、真矢が居るから……」


「⁉︎ぐふっ……何故だ……あのダメ野郎がこんなにも愛される……」


……のか?てか失礼だな。


俺は大きく溜息を吐きながら黒廼を横目で見る。


「?」


黒廼が何か用?という感じで首をかしげる。


それに対して、なんでもないと手を振る。


すると黒廼は仲良くなっていたのか、クラスの女子と話していた。


うぅん……和むわぁ……。


う〜ん……あれ、なんか忘れてなかったっけ……?


その瞬間教室のドアが大きな音を立てて開かれる。


「しぃんやぁぁぁ⁉︎ちょぉぉっとお話があるんだけどぉぉ⁉︎」


クラスの空気が固まる。それと同時に視線が真矢に集まる。


……あ、桜忘れてた。


———この後、日が落ちるまで屋上で滅茶滅茶怒られた。

主に黒廼の事とか。


ガチャ……

「ただいまぁ……」


俺はクタクタになりながら何とか玄関のドアを開ける。


「おかえりっ‼︎真矢!」


エプロン姿の黒廼が駆けてくる。あら可愛い……そのまま俺のお腹に頭をどーん。

……うむ、これは言ってなかったと思う。黒廼の外見についてだ。

身長は俺のお腹ぐらい。顔は普通に可愛い。髪は銀のロング。胸は……成長途中。

ん?俺は何を説明しt……

「ぐふっ⁉︎」


「朗報!朗報!」


黒廼は一旦俺から離れ、玄関でぴょんぴょんと飛び回っている……。

……かわえぇ……じゃなくて!


「何が朗報なんだ?黒廼」


お腹をさすりながら意味を問う。


「真矢が強くなるのにぴったりなモノを見つけた!」


そうかそうか、俺が強く……ん?


「でも……私は其処に行けないから……」


……其処?ってことは場所かな?ジムとかかな?

まぁ、黒廼は女の子だしジムには入らないよねー。


「黒廼?いったいどこに連れてってくれるんだい?やっぱりジムとか?」


「異世界!」


……おかしいな、この子こんなこと言う子だっけ……

あぁ、きっと疲れてるんだな……。


「とか、思ってる?」


ぎくっ……。なぜだ……何故ばれたし。


「聞き分けのない子は……もう行ってもらう」


「あの……黒廼さん?」


そう言い放つと黒廼は頬を膨らませながら家の中央(リビングに中央)に立った。


『≪天元の始祖よ、遥か彼方の星になりし者よ、

天は我に味方せし、我が求むるは、魔法世界デヴァグロウ≫‼︎』


その言葉が終わった瞬間、辺りは強い光に包まれた。


「くっ……⁉︎」


俺は咄嗟に目を瞑った。そして腕を顔の前でクロスにし、目を守ろうとした。


しかし、その光は直ぐに引いた。


「……ん?」


俺はゆっくりと目を開こうとするが眩しかった。

……おかしい。さっきまで夜だったはずだ。俺は目を開いた。


「なっ……⁉︎」


その疑問は目前の景色が答えてくれた。


空は雲が少ない晴天。


……だけじゃない。


無数の島。


その島々に橋のように掛かる虹。




そして、空を駆けるのような者だった。















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