第弐話『出会い』

「ん…ここは…?」

ふと俺は目を覚まし、周りを見渡した。

見たことがない場所だ。とても綺麗な場所。

「綺麗…」

と、思わず口に出してしまうほどだった。

「そうですか。ありがとうございます。」

と、背後から響くような声が聞こえた。

振り向くと其処には天使のような羽、

小さい頃よく環型蛍光灯でやったような頭の輪っか、

そして極め付けには凄い美人さん。

まさに女神様だった。

「私は女神アテナ。あなた方人間もよく知っておいででしょう?」

女神アテナ。

人によって異なるがアテネなどと呼ばれることもある。

ギリシャ、ローマ神話最大の女神、

戦術、学問、知恵、織物、陶器、医術、音楽の女神として名が高い。

知らない人はほとんどいないだろう。

「あの…アテナさまが俺に何の用ですか?」

と聞いてみる。

「貴方は私の使いを助けて下さいました。しかし貴方は亡くなってしまった。」

と告げられた。

そうか、俺は死んだのか…と笑いながら呟き、

「あの子は大丈夫でした?」

と怪我がないか聞いた。

アテナ様は微笑みながら

「ええ、怪我一つありませんわ」

と俺の方へ近づきながら言った。

「それと一つ相談なのですけどね」

とアテナ様は真面目な声色になりながら言った。

「えぇ、何でしょうか」

つい俺も改まってしまう。

「貴方は気づいていますか?」

とゆっくりとした口調で言った。

「何にでしょうか?」

俺は聞き返す。

「自分の力ですよ」

アテナ様は目の前に人差し指を持ってきて真面目に言った。

「俺の…力?」

俺は理解ができなかった。こんな平凡以下の俺に異能染みた力などある訳がない。

一時期はそう言うアニメや漫画が好きだったが虚しくなってきたのでやめてしまった

「貴方は今回で力を一段階解放したようですね」

アテナ様はいつの間にか俺の背後に回っていた。

「時の始祖クロノス…貴方は神の力を操れるんですよ」

俺は衝撃だった。確かに最近何かと違和感を感じたことはあった。

寝たはずなのに時間が経っていない。

喧嘩を止めようとして相手が全員倒れている。

などと色々あった。

「クロ…ノス…」

クロノスといえばウラノスとガイアの息子でゼウスの父。

時の始祖と呼ばれている。

「今回の事故はクロノスが暴発したのでしょう。

近付いてくるのが異常に早かったでしょう?」

確かに、そう言われると辻褄が合う。

トラックが急速に近づき、俺に当たった。

それはクロノスの力が暴発し、時間を早めたと思うべきか。

「貴方にはある事を頼みたいのです」

とアテナ様は言った。

「貴方には神々の戦争を止めてもらいたいのです。


その戦争の名前はかつてあったものと同じ、



終末の日『神々の黄昏ラグナロク』」

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