序章 過去話 女神の微笑み編

第壱話『全ての始まり』

これから話すのは俺が勇者になるまでの経緯のお話。

そう、事は二年前……


「あぁ〜、学校面倒くさいなぁ……」

俺はそう言いながらベットから降りてあくびをする。俺は学校では勉強は余り良い方ではなかった。俺が唯一出来るのは料理ぐらいだ。

俺は溜息をつきながら学校へ行く準備を始める。

俺は小さい頃に親を亡くしていて、学校を休んだところで怒られないのだが。

ピンポーンとチャイムが鳴った、

「少し待ってろー」と大きな声で言うが向こうは待てないようだ。

ピンポーンピンポーンと連打してくる。

「あーもう!うるさいなぁ!」

と俺は半分怒りながら玄関のドアを開けた。

「やっと出てきたわね!このモグラ!」

この俺に強い言葉を当ててくるのは

幼馴染の金髪ロリ、西 桜にし さくら。こう見えて良いとこのお嬢様。

「はいはい、分かりましたよお嬢様」

と、俺は少し嫌がらせを包んだ言い方をする。

桜はお嬢様と俺に呼ばれるのが大の苦手らしい。

「お嬢様言うな〜‼︎」

と、少し怒ったのか頬を膨らませて俺を叩いてきた。

「はいはい」

と俺は少し笑いながら言い、歩き出した。

「あ、待ってよ〜!」

と、桜は言い走って付いてくる。

そして平凡な1日が過ぎると俺はふと思った。


だいぶ歩き、学校の近くの交差点でふと道路に人影が見え、気になって、

「桜、少し待っていてくれないか?」

と、桜に言い、その道路の方へ走って行った。

すると、歳は…10くらいだろうか、そのぐらいの子が道路の上を歩いていた。

「お〜い、危ないぞ〜!」

と、声を掛けるが聞こえている様子は無い。

どうしようかと追い掛けながら考えていると少女の前から

トラックが迫ってきている。

少女は気づいていないようだ。

「おい!危ねぇぞ!」

と、大きめの声で注意を促すがやはり聞こえていないようだ。

「ちっ…!」

と、俺は舌打ちをし、道路に飛び込んで少女を抱え込んで逃げようとした。

しかし、俺が気づかなかっただけなのか分からないが

目の前にはトラックがいた。

ボンッと鈍い音がし、俺は弾き飛ばされた。

体が動かない。どうやら骨が何本かいってしまったようだ。

心臓の鼓動が早くなる。残った手の神経には温かいものが触れていた。

ふと、誰かが俺の顔を覗き込んできた。

あの少女だ。無表情で俺を眺めている。

あぁ助かったんだなと俺は安堵の声を漏らし、ゆっくりと目を閉じた。





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