かばんちゃんとサーバルちゃんがドッタンバッタンするお話

毎月10万円欲太郎(ほしたろう)

アニメの3話と4話の間で、かばんちゃんとサーバルちゃんがドッタンバッタン大騒ぎ

 ジャパリカフェで充電を終え、バスが動かせるようになってすぐあとのお話。

 日も暮れてあたりがすっかり暗くなった頃―。

『モウスグさばくちほーダヨ。キョウハコノヘンデ休憩シヨウカ』

 と、ラッキービースト。

「そうだねラッキーさん」

 と、かばんちゃん。

「わーい、ジャパリまんたべよーよ」

 と、サーバル。


 バスのライトを明りに、辺りの草を集めれば即席のキャンプ場の出来上がり。

「ジャパリまんおいしかったねー」

「そうだねサーバルちゃん」

 かばんちゃんはかばんからパークの地図を出して、ながめている。

「かばんちゃんのかばんってなんでも入るねー」

「あはは。たまにラッキーさんも入ってるよね」

「ねぇねぇかばんちゃん! そのかばん、見てもいーい?」

「え? いいけど」

 かばんをうけとったサーバルは、

「わー、すごーいっ!」

 中をのぞきこんで大喜び。

「ここを広げていろんなものをいれるんだねー!」 

「そうだね」

「すごーい」

「あはは」

「すごーい」

「あはは……」

「すごーい」

「はは……ねぇ、サーバルちゃん」

 サーバルがかばんの中を覗き込む目がだんだんキラキラしていき……。

「すごーい!!」

「ね、……ねぇ! サーバルちゃん、そろそろいいか……」

 ずぼッ……!

「ふごーい゛!(すごーい!)」

 サーバルはかばんの中に頭をつっこんだ。

「だっのじー!(たっのしー!)」

 そしてそのまま地面をごろごろ転げまわる。

「さっ、サーバルちゃん! 何をするの!? ラッキーさん、サーバルちゃんが!」

『コレハ、ネコ科の動物ノ習性ダネ。ネコ科ノ動物ハ、セマイトコロニハイリタガルクセガアルンダ』

「そ、そうなんですか……」

『放ッテオケバ飽キルカラ、かばんハシッカリ休ンデ』

「は、はい。じゃあ、……サーバルちゃん、ぼくは先に寝るからね……おやすみなさい」

「ばーい゛、お゛やずみー(はーい、おやすみー)」


 翌朝。

「モガモガー(かばんちゃんおはよー)」

「おはようサーバルちゃん……はぁ……それはかぶったままなんだね……」

「モガモガ(ごめんね、かばんちゃん。わたしこの中がたのしすぎてとれなくなっちゃった)」

「もう、これじゃ出発できないよ……。こんな時はどうしたら……」

 うなだれたかばんちゃんの視界に、ラッキービーストが入る。

「そうだ! ラッキーさん、ちょっと手伝ってもらえますか?」


 10分後。

「モガーモガモガー!(すごーい! たーのしー! すごーい! たーのしー!) 」

「サーバルちゃん、出発するからかばんをかえしてもらうよ」

 かばんちゃんは、サーバルの頭のかばんに手をかけ力いっぱい引っ張る。

「モガモガ(やだやだー、でたくないよー!)」

 サーバルは足をバタバタさせて抵抗する。

「やっぱり、力じゃかなわないか……じゃあこれならどう? こちょこちょこちょこちょ……」

「モガモガ(うみゃッ!? うみゃうみゃうみゃ……あははは……くすぐったい、やめてー)」

「どう? かばんをかえしてくれる?」

「モガモガ(あははは……やだっ、やだもーん!)」

「じゃあ、これなーんだ?」

「モガ?(これは……、このにおいは…)」

「ジャパリまんだよ! おなかがすいたでしょう? ほらいいにおいだよ!」

「モガモガ(ジャパリまん……、ジャパリまん……)」

「美味しいよ、さぁ、かばんをとって」

「モガガッ(ダメー、きのうの夜たくさんたべたからおなかすいてないもーん!)」

「もうっ! サーバルちゃんのことなんか知らないっ!」

 かばんちゃんが怒った!

 タッタッタッタッ……と、かばんちゃんが走りさる足音が聞こえた。

「モガモガ(えっ? かばんちゃん待って! ……ああ、でもだめっ。この中がたのしすぎてやっぱりとれないようっ)」

 かばんちゃんを追いかけなきゃと、よろよろと歩きだすサーバル……。

 ブルルン、トコトコトコトコ!

 今度はバスが動く音がする。

「モガモガ(かばんちゃん、まさか私を置いて……かばんちゃん、待って! 置いてかないで……)」

 バタンと、ドアが閉まる音がして、ブロロロロロローンと、タイヤがきしんで走りだした。

「モガモガ(ヤダーッ!)、かばんちゃん、ごめん、わたし悪い子だったよー!!」

 涙目のサーバルがかぶっていたものをガバッと取ると、

「えへへ、やっと取ってくれたねサーバルちゃん!」

 笑顔のかばんちゃんが目の前に立っていた。

「あれ? どうして? バスに乗って行っちゃったんじゃ……」

「サーバルちゃんを置いて行くわけないじゃない……あれはね」

『ブロロロローン、ブロロロローン』

 とラッキービースト。

「ラッキーさんにいろんな音を出して貰ってお芝居をしてたんだよ」

「うわーん、よかったー、よかったよー。ごめんね、かばんちゃん、わたしかばんちゃんを困らせちゃった……」

「ううん、習性っていうんでしょ? 仕方ないよ」

 かばんちゃんは、かばんのフタをきつくしめて背中に背負った。

『ソロソロイコウカ? さばくちほーガ待ッテルヨ』

「はい」

「はーい」

 かばんちゃんとサーバルちゃんのたっのしーたびはつづく。

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