タイリクオオカミが語るこの物語を伝えよう

小咄よしひろ

第1話

サンドスターが降り注ぐ以前の世界を覚えているものは幸せである。心豊かであろうから…フレンズはその記憶を持って生まれ落ちたにもかかわらず、思い出す術を持たされていないのだから。それ故にタイリクオオカミの語るこの物語を伝えよう。


ハイパーテクノロジーの発展によりあらゆる分野に進出したラッキービースト

パークガイド、土木、建設、草むしり…その多様な機能によりヒトの家庭に1体というほど普及していた。

時は流れ、サンドスター事変※(注1)による大量のセルリアンの発生。人類の脅威となったセルリアンに対抗するため、全てのラッキービーストに特殊迎撃機構ハードラックビーストモードが搭載された。

その機能がヒトにとってハードラック(不運)になるなどとは、この時誰も知る由もなかった。

終わりの始まりは1体のラッキービーストのセルリアン化から始まった。ほかのラッキービーストはセルリアン化した1体を迎撃するためにハードラックビーストモードになり戦った。

しかしラッキービースト間の連絡手段ラッキーネットワークをセルリビーストの掌握され、電波範囲以内にあったラッキービーストのことごとくがセルリアンの従僕になってしまったのだ。

瞬く間に世界中のラッキービーストたちが暴走し世界各地に生息してたといわれているヒトはその総人口の半数まで激減した。

わずかに残ったヒトはセルリアンに抵抗し続けた。

ヒトはあきらめてはいなかった。ヒトとフレンズ、ラッキービーストとをつなぎセルリアンの支配から解放し再びヒトの世界を取り戻す救世主が現れるのを待ち続けた…


ZZZZZZZZZZZ…

「……ん?キリンくん、キリンくん寝てしまったのかい」

「ぁぃえ、ちゃんと聴いてます。つづきが気になります!」

「いや、まだこの先は考えてないんだけどね。でも君、開始5分くらいからうつらうつらしてきてたね。5分切りだね」

「そんなことはありません。それにキリンの睡眠は浅いので大丈夫です!」

「ほら、やっぱり寝てたじゃないか」

「素晴らしい推理さすがです先生さすがです!」

「で、どうだった?いまのは」

「難しい単語が3つ以上出てきた時点でもうダメでした。すみません。ところでこの話って本当にあったことなんですか?」

「もちろん創作だ・け・ど・も♪」

「先生、上のほうに出てくる『※(注1)』はなんなんですか?」

「こういうのがあると設定に深みがあるように見えるだろう」

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タイリクオオカミが語るこの物語を伝えよう 小咄よしひろ @kobanasi_yosihiro

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