第3話
トモ君の家にマチコはよく行ってるみたいで、
とりあえずコンビニで何か適当に買ってトモ君の部屋で飲み食いしようかとなった。
派手な印象のトモ君の部屋はイメージとイイ意味で違っていて、きちんと片付けられているピカピカのフローリングで今風の青と黒ですっきりまとめられたスタイリッシュな部屋だった。
マチコが気に入って入り浸る意味の理解が出来た。
私もまたこの勝手の良い基地に遊びに来たいと思った。
「ぁ、紹介するは!
こいつ俺の友達のヒロ!めっちゃいい奴やから!」
トモ君が差し出す様に私にヒロを薦める。
「カオリです。
ちゃんとか付けずにカオリでいいから…」
少し人見知りしながら自分から自己紹介した私を見てクスクス彼は微笑んできた。
「うん、カオリって呼ぶは。
俺はヒロ。俺もヒロでいいから。」
待ち合わせ場所からずっとそっぽ向いて一言も話さなかったし、
初めて声聞く。
目を細めて緊張ほぐれたヒロの顔を見てるとなんだかとても安らいだ。
それからヒロはお菓子を取ってきてくれたり、
楽しい会話もしながら、
ジュースのおかわりを入れてくれたりと気を利かせて接してくれた。
窓の外も暗くなってきたころ、
気づくとマチコとトモ君の姿が消えていた。
トモ君の親は共働きで帰宅は深夜になることがおおいらしい。
一階のリビングに映画でも見にいったんだろうな。
急に二人になった事に気付いてよそよそしくなるこちらに向かってヒロは真剣な顔と照れくさそうな顔をちらつかせながら、
「なぁ?カオリ、こっち向いて」
空気が止まる。
「何よ?」と言うこちらに続けて、
「いきなりやけど…
俺のこと好きぢゃなくていいから付き合ってほしい」
時間も止まった気がした。
「まだ、好きぢゃないけど、
いいよ…うん…」と返事をかえした。
「ばりうれしい…頑張るは!」とヒロは無邪気な子供みたいに目を細めた表情で喜んでくれた。
少しの間、
静まりかえってBGMみたいに安室の曲が流れていたのを覚えてる。
出逢ってからわずか数時間、
ヒロの勇気のおかげ?で私はまだ好きでもない人と付き合う事になった。
後にも先にもこんな出来事は私にはない。
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