第25話 これからどうすべきか会議しようか

「はっはっは。校長はすべてわかったうえで私達の後押しをしてくれるのだな」

 この言葉からわかるように、ななみはこの状況を迎合している。

 俺たち生徒会のメンツは校長が全てを知っていたという事実に、全員で頭を抱えていた。

「これからどうするべきかを会議しようか」

 糸居先輩が言う。

 初めて何も答えの見えていない手探りの状態から始まる会議だ。いままでの会議は最初から答えが決まっていた。これは初めての経験である。

「では良賢君の想いをテレビ乗せるはいいとして、どのような方法を使うかだな。私はいままでの事をまとめた再現ブイティーアールを作って良賢君の軌跡をだな」

 バカは話に入ってくんな。

 そうは思うがそうとも言えない状況だ。この状況では、何も常識のないななみの考えが頼りになる。

 常識で考えていたら、こんな大事業に手を出すことはできないからだ。

「まてまて、まず本当に良賢君のためにそんな事をするべきなのか、から話し合おう」

 部外者の笹島君はこの計画そのものに反対であるらしい。

 無関係の君だ。手を出す義理もないからな。

「生徒会のみんな。良賢君に了承をもらったぞ」

 ドアがいきなり開けられて校長の声が聞こえてきた。入口の方は果てしなく見たくない。俺たちの事をさらに追い詰めるものが用意されているだろうからだ。

 校長の隣には良賢君がいた。なんで連れてきてんの? 手回し良すぎだろ。

「彼が良賢君かい?」

 さすがの笹島君もこの展開には詰まった。

 本人を目の前にして『こんな子を本当に助けないといけないのか?』なんて言えないからな。

「本当にみんなボクのために協力をしてくれるの?」

「この学校の生徒会だ。私の方からも協力をするように指示を出す」

 校長の指示あり、本人からの涙の感謝の言葉ありだ。

 良賢君がホントに泣いてるわけじゃないがな。

「そうだとも。我々が君の生きた証を残す手伝いをしようではないか」

 バカが言い出す。これでこの事は決定事項になった。


「計画を一から考えようか」

 バカが勝手に話を進めてくれやがった。そのしわ寄せは俺たちの所に向かってくる。

 幸いっていうか、俺たちにとっては不幸なことに、校長がテレビ局につなぎを取れる。

「余命いくばくない少年の命の灯をうんたらかんたらとか言えば、テレビ局の方から食いついてきそうな企画は作れると思う」

 俺も世の中を分かっていないような事を言う。

 ローカルテレビと言えど、俺たちの思いつきに快く付き合ってくれるほど大人は暇ではないというのは分かっている。

 そうであったとしても、テレビ局が食いついてくるという前提で話をしなければならない。

「本当にテレビ局は食いついてくるのですか?」

 笹島が本当に痛い事を言ってくれる。

 そうだよ。そんな保障どこにもないよ。

「テレビ局にも事情がある。私達にできる限りの演出を考えて魅力的な話を作るのだ。向こうから飛びついてくるような売れそうな話を考えようではないか」

 なんか、分かった風な口をきいてくるぞ。このバカは。

「考えるって本気ですか?」

 笹島君。消極的な事を言わないでくれ。

「そうだね。まずはテレビ局の事情を調べる方が先じゃないかな」

「ちかどさんの言う通りですよ。テレビ局に番組を作ってもらうためには、普通はどのような方法が使われるか? それを調べないと、我々が勝手に話し合ったところで無意味です」

 糸居先輩。グイグイとちかどさんに迫っているね。

 糸居先輩の見え見えの下心はともかくとして確かにその通り。

 困った時は根本的な事から考えないといけない。そもそも番組を作ってもらうには普通はどうするのかを調べようではないか。

「校長かな」

 テレビ局につなぎを取れるという校長。校長に聞いて調べてもらおうではないか。

 情報を手に入れる方法はあるのだ。入ってから話し合いを始めても遅くはないという結論で、会議は終わった。

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