第7話大討伐作戦-猛攻-
ドゴゴゴゴ...
遠くの方から爆音が迫ってきている。
「あれがマンドラドラゴンか」
「あんなの討伐できるの...?」
あまりの大きさに息を呑む。
何本もの触手が背中から生えているが原型はドラゴンなのだとはっきり分かる。大きな両翼を広げ低空飛行でこちらに向かってくる。
「キャアアアアアアアアアアア!!!!!!」
突然の騒音にその場にいた全員が耳を塞ぐ。
耳を塞いだにも関わらず気を失い、地面に倒れている者もいる。
「な、なんだ!?」
「あれがマンドラドラゴンの特徴です!マンドラゴラを引き抜いた時のような悪魔の鳴き声を持っています!周りを見てわかると思いますが、耐性の弱い人は気を失ってしまいます」
夢さんも気をつけてくださいと言ってメルカも倒れる。
「メルカああああ!!!!」
メルカを含め、こちらの戦力はかなり減ってしまっているようだ、
「効くかどうか分からないけど...マジックリフレクト!!!!!」
別のパーティのウィザードが魔法反射魔法を唱えた。なかなかの高等魔法だから、あのウィザードはA級からS級ほどだろう。なかなかに心強い。
「キャアアアアアアアア!!!!」
相変わらず耳を塞いでしまうほどの騒音ではあるが、さっきよりは幾分かマシになっている。さすがとでもいうべきか。
「メリーが反射呪文を唱えてくれた!!攻めるなら今だ!いくぞおめえらああああ!!!ガッハッハッハッハ!!!!」
トールの言葉に続き、前衛職の冒険者達がマンドラドラゴンに一斉に攻め込む。
メリーと呼ばれたウィザードは照れながらも冒険者達と掛け声を合わせる。
「お、おおおおおお!」
「夢様、私も行ってきますね!後ろからの援護、頼みますよ?」
リリアさんはこのパーティ唯一の前衛職、ナイトだ。
「わかった、頑張ってきて!」
俺はアーチャーだから、みんなの援護に集中する。
腰の矢筒から何本もの矢を束ね持ち、叫ぶ。
「ッアローレインッ!!!」
放たれた複数の矢は、白い光を纏いながら空高くまで上がり、一気に急降下する。その1本1本が冒険者達に迫っていた触手を穿つ。
「助かったぜ色男!!ガッハッハッハ!!!」
いくつかのクエストを受けてきて、まだB級ではあるもののレベルは上がり、色んな技が使えるようになっていた。
「っいてて...あ、もう戦闘が始まってる感じですか!ご迷惑おかけしました...」
姉さんと他のパーティのガーディアンに守られていたメルカが申し訳なさそうな顔をする。
「大丈夫?もう少し休んでても平気だよ」
姉さんの言葉が、メルカの不安を和らげるための強がりだとすぐにわかる。
「大丈夫です!かけたご迷惑の分は働いて返します!」
そう言うとすぐに立ち上がり、杖をマンドラドラゴンに向ける。
「っはあああ!ハイヴォルフフレア!!!!!!!」
今までに聞いたことのないほどのメルカの叫びとともに、メルカの周りに黒と蒼の炎が流れ始め、赤色の耳や尻尾がなびく。そしてメルカの瞳が焦げ茶から真っ赤な赤に変わっていく。
あまりのオーラに、メルカの前で防戦していた姉さんとガーディアンが目を見開く。
ドオオオオオオオオオン!!!!
激しい音と同時に巨大な火球がマンドラドラゴンの顔面に弾ける。
その威力はS級ウィザードと同等かそれ以上のものだ。
「私達ハーフウルフの奥義の一つです!魔力の消費が激しいですが...」
それはハーフウルフのウィザードのみが習得できる極大魔法で、他の種族のウィザードがどんなにレベルを上げても使えないのだという。
「だ、大丈夫か!?」
ふらつくメルカをガーディアンが支え、姉さんがマナポーションを飲ませる。
「やっぱり不味いです...」
相当マナポーションが不味いのか女の子とは思えない顔をするメルカ。
「これでB級ウィザードの魔法は使えるはずよ、もうひと頑張りだね!メルカちゃん」
メルカの極大魔法により、マンドラドラゴンの体力はかなり減っていそうだが、同時に...
「キャアアアアアアアアアアアア!!!!!」
「っく...マンドラドラゴンが起こったぞおおお!気をつけろおおおお!!!」
前衛で戦っていたソードマンの一言に全員が身を引き締める。
「ああ!もう!きりがねえなああ!!!ガッハッハッハ!!!!!」
巨大な棍棒を振り回しながらトールが叫ぶ。
キレているのか笑っているのか分からない。
「リリアさん危ない!!」
「え?夢様?」
死角から回り込んできていた触手がリリアさんを捕らえる。
「な、なに!?私はされる方じゃなくて夢様達がされてるところを見たいの!でも、今の私を見て夢様が興奮しているなら...」
「変なこと言ってないで!食べられちゃうよ!!」
このクエストにはリリアさんのトラウマを克服する目的もあるのに、また捕食されては元も子もない。だが、リリアさんを捕らえている触手を狙おうにも動きが早くて狙えない。
「スローラー!!!」
姉さんの呪いの効果でマンドラドラゴンの動きが一時的に遅くなった。
「ありがと!姉さん!!」
「もちろんよ!夢の考えていることは全部手に取るようにわかるもの!」
少し寒気がしたがお陰で触手を狙える。
「ポイントショット!!」
放たれた矢は一直線に触手に飛び、触手は粉砕する。
「助かりました、夢様!この恩はこの身で返します!」
「変な事言わないでって言ってるよね?」
後ろの姉さんの目が怖い。
「よし!あと少しだ押し切れえええ!!」
味方全体の士気が上がり、マンドラドラゴンに猛攻が集中する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます