第8話大討伐作戦-一件落着-

「キャアアアアア!」

冒険者達の怒濤の攻撃の嵐を受け、さすがのマンドラドラゴンも鳴き声が弱々しくなってきた。

「ハイヴォルフフレア!!!」

これでとどめだといわんばかりの巨大な炎球が炸裂する。

凄まじい爆風と衝撃波により、周りにいる冒険者達が飛ばされまいと踏ん張る。

その極大魔法の直撃を受けたマンドラドラゴンは数メートル後方に吹き飛ばされ、確実に動きが止まった。

「イッヨシャアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

勝利を確信した冒険者達の喜びの叫びが、マンドラドラゴンとの死闘を繰り広げた平野に響き渡る。

「勝てた、勝てたんだ!!俺ら勝てたよ!」

「そうですね!まあ私の極大魔法のお陰ですね...」

ふらつきながらもガッツポーズをするメルカ。その瞳はいつもの焦げ茶色に戻っている。

「その通りだよ、お疲れ様メルカ」

応急処置でマナポーションを渡す。連続して魔力を使いすぎると魔法酔いという状態になるらしく、リリアさんがメルカに、休憩しているよう言っている。

「これで後はギルドに報告しに帰るだけですね」

とリリアさんが言ったときだ。

「や、なにこいつら気持ち悪い...きゃっ、離して!」

少し離れた位置にいた女性ヒーラーが悲鳴をあげる。周りを見るといつの間にか、小さい人形モンスターに囲まれている。

「くっそ、ゴブリンどもか...女性の周りを囲め!連れていかれるなよ!」

そう、俺達を囲んでいたのはRPGなどでよく現れるゴブリンだ。

「なんで女性を囲むんだ?」

俺は近くで棍棒を振るっているトールにきく。

「こいつらの狙いは別種族のメスだ!!自分達の巣に連れていって自分達の妻にするそうだ、ゴブリン族は女が生まれねえからな!ガッハッハッハッハッハ!!!!!」

なんて下劣な!確かにさっきから俺には目もくれない。

「あ、ちょ、連れていかれます!助けてください夢さああああああん!!」

極大魔法の反動で魔法が使えないメルカが涙目でゴブリンに担がれいる。

「やばい!ポイントショット!!」

なんとかゴブリンを撃ち抜きメルカを救出する。

「ごめんなさい夢さん...また足手まといに...ひくっ...ぐす...」

「怖かったな!しょうがないよ。俺達の後ろに隠れてて」

「はいぃ...ごめんなしゃぁい...ひくっ...」

「すぴー...すぴー...」

「グランシアあああああああ!?」

マンドラドラゴンとの戦いの中、目立たずともヒーラーとして戦っていたグランシアは、よっぽど疲れていたのか戦い後すぐに寝てしまったのだが...

「起きろ!!連れていかれるぞ!!」

寝たままゴブリンに運ばれている。

だが、俺の目の前にゴブリンが集中していて助けにいけない。

「おい!あの女の子寝てるぞ!誰か助けてやれ!」

男の言葉に、冒険者達がグランシアの周りのゴブリンを倒し助けてくれた。

「ごめん!ありがとう皆!」

泣いているメルカや、まだ寝続けているグランシアを含め女性冒険者達は男達の後ろにいる。

それを見て諦めたのかゴブリンはちりじりに帰っていった。

「待てよゴブリンども」

後ろの方から禍々しいオーラを感じる。これはまさか。

「別種族の女性を襲うんじゃないの!?私のことだけガンスルーってどういうこと!?」

それはゴブリンに女性として見られなかったことにたいして激怒している姉さんだった。

「私を無視したこと地獄で後悔しろ!アシッドシャワー!!!!」

姉さんの言葉とともに紫色の液体がゴブリン達に降り注ぐ。

「ギヤアアアアアアアアア!!!!!!!」

紫色の液体に触れた瞬間に、ゴブリンは絶叫しながら倒れていった。

「ア、アシッドシャワーってそんな強力な呪術だったか?」

「毒状態にするだけだったと思うんだけど?」

「呪術は術者の気持ちの大きさに左右されるって聞いたことがあるけど...」

周りの冒険者達から姉さんに視線が集まる。

「なんでこんなに見られてるの?...ねえなんで?」

「ま、まあ窮地を脱したんだ、良かったじゃないか!な、なあ」

「お、おう!そうだな、ありがとう呪術師の姉ちゃん!」

「呪術師って言わないで!私シャーマンだからあああああ」

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