第2話
何でもないように戻る□常。
キャスター「昨夜、但馬区で起こった爆発事件ですが、一体どういう事なのでしょう。同行していた女性によると急に爆発したということですが。」
専門家「ええ、これは爆弾テロと見て間違い無いでしょう。何が起こるかも分からないので、但馬区の方は充分注意を…」
母「どしたの光輝?早くご飯食べちゃいなさい」
真白「ん…?あ、あぁ」
それどころではない。爆弾テロの犯人はきっと俺なのだ。
警察は動いている。となれば現場にいた人に話を聞くだろう。となれば俺のところにも話を聞きに来るだろう。 どうごまかすべきだろうか…
『どうごまかす』…?
違う!まるで俺が犯人みたいじゃないか!まだそうと分かったわけじゃないだろ!
母「光輝!今日変よ? クリスマスだってのに…なに?なんか悩みでもあんの?」
真白「何でもねぇよ!気にすんなって へへへ」
母「そう…ならいいけど」
部屋に戻り、Yahooを開く。そして、キーワードに「真白光輝」と打ち込む。検索結果一覧が出てくる。同姓同名のシェフ、ピアニストなどは出てくるも、爆弾テロ犯の話は上がっていない。
真白「よかったぁ〜…」
そもそも何故爆発が起こってしまったんだ?あのまま田井中先生と朝までエクスフュージョンしとくべきだった…
しかしモヤモヤは取れない。そりゃそうだ。人1人殺してるかもしれないのだ。 こんな時は…スマホを取り電話をかける。
プルルルル プルルルル ガチャ
章介「もっしもーし!!真白か!どした!?」
真白「うぅるっせぇ!Xmasの朝から喚いてんじゃねぇ!!」
章介「ゴメンゴメン…ほら、冬休みで暇じゃぁん?」
真白「てめぇはうさぎかよ…」
田代章介。小中高と腐れ縁の友達。辛い時も嬉しいときも何気にこいつと一番いる。
章介「……なんかあったのか」
こいつは昔からそうだ。勘が鋭い。
真白「あー…なぁ、会えないか」
章介「お前はうさぎかよ!ま、いいぜ!公園に2時半な!」
プツッ。
真白「……どこの公園か言えっつーの」
時計を見ればまだ10時に差し掛かった程度だった。いつもせっかちなアイツが、四時間遅れの時間設定。あいつも、何かあったのだろうか。
真白「…寝るか」 2時半を過ぎそうな気もしたが、俺はしっかり眠り込んだ。
幸せと辛さは紙一重
「但馬区爆発事件対策本部」と大きく貼り出された部屋に入って行く。気は乗らないが仕方ない。
蓮「あ、亮太警部!遅いですよ!何分遅れだと思ってるんですか!あとここ禁煙です」
亮太「うるっせぇな…たったの45分遅れただけだろうが…あと俺の半径50m以内は常に喫煙所だ覚えとけ」
蓮「ったく…はい資料です、とっとと読んでとっとと逮捕してください」
亮太「そいつは無理な話だろうな、なんせ俺は今日非番のはずなんだ」
そもそもなぜ爆発事件なぞ起こるんだ。これだと俺も警部として捜査に協力しなきゃならないだろうが…
流石にタバコはまずいと感じ、ポケット火消しで消したが、もったいない、まだ残っていたのにと俺の中の悪魔がささやく。
説明警察官がベラベラと前で喋っているが全て聞き流す。どうせ一言一句逃さず蓮が聞いているだろう。
説明官「では佐藤亮太警部、但馬区の捜査状況をご説明願います。」
亮太「え…あ〜…はい」
まずいぞ。全く話を聞いていない上にちらっと捜査資料をみただけ。捜査はほぼ蓮に丸投げしていたのがこんなところで仇になるとは…
蓮に目線を送るも一瞥されて終わる。
亮太「ッチ…えっ…とですね」
仕方がない…必殺技を出してやるよ。
亮太「今回起こったのは但馬区の男性吉田賢太郎さんが人身爆発を起こした事件です。えー…彼女の発言によると何の前兆もなく爆発したそうで、その際…助けに来た男性2人と女性1人によるとその場にもう1人男性がいたそうですが悲鳴をあげて逃げていったということです。現在総力をあげて捜索しております。以上」
説明警察官「ありがとうございます。いつもながら亮太警部の説明はわかり易くて素晴らしいですな」
あー疲れた。もうダメ。今日動けない。
蓮「どうせその超能力的観察眼と速読能力あるんだから僕要らないでしょ」
亮太「これは疲れんだろ?俺はなるべく疲れないで金を貰いたい」
蓮「カスですね」
亮太「自覚してる」
こんな事件はとっとと解決するに限る。だが…爆弾事件には正直もう関わりたくない…
蓮「まぁ…亮太さんの気持ちも分かります。でもいつまでもあの事件に固執しててもなんも始まらないと思いますけどね」
亮太「……うるせえな 固執なんかしてねぇよ」
蓮「そうですか ならいいんですけど」
捜査会議が終わり、蓮は報告の整理と聞き込み、例の男性の捜索に向かった。
俺は捜査報告の反芻をしていた。
もちろん逃げるのは普通だ。男性1人逃げたところで何も疑う余地はない。だが周囲の人々の「棒立ちで動いていなかったのに急に悲鳴をあげて逃げ出した」 という証言。
すぐに逃げ出してもおかしくないだろう…しかも逃げていった方向は根田区方面だという。根田区には甥が住んでいる。 嫌な予感は、当たるもの。
もう、爆弾で大事な人を失う訳にはいかないだろうが。
亮太「待て蓮!」
蓮「なんですか?」
亮太「お前は捜査資料まとめてろ。根田区と但馬区には俺が行く。」
蓮「珍しくやる気じゃないすか…鬼警部の復帰ってわけですかい」
亮太「爆弾魔は俺がこの手でキッチリと締め上げる。根田区には可愛い甥が住んでるからな。とは言ってももう高校生だが」
蓮「可愛いなんて感情あったんすね」
亮太「うるせえぞ。とっとと行け」
蓮が小走りで戻っていく。
亮太「さてと…行くかな」
タバコに火を付けたが急な突風にタバコが飛ばされてしまった。
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