第5話 青年期 金魚
私は、近くの中学校に進学した。この年齢になると、ある程度は客観的にとられることができるようになった。父親と母親の関係、母親の浪費癖、遊び癖、男癖や家庭の経済状況。母親の『それ』はまだまだ相変わらずだが、体も大きくなったからであろうか、母親の体罰は減っていった。
厳格で人と遊ぶことをしない父親の唯一の趣味であると言ってもいい玄関にあった大きな水槽。父親はここで金魚を飼っていた。
そんなある日、学校から帰ると玄関が水浸しになっている。割れた水槽と共に大小様々な金魚がぶちまけられている。
ほとんどが、動かなくなっていたが、数匹の金魚の口がパクパク動いていた。
私は助けようとは微塵にも思わなかった。見てみぬ振りをした。余計なことをしようものなら母親の『それ』が始まりそうで怖かったからである。
懲りない父親は、ほとぼりが覚めるとまた金魚を飼い始めた。そして、また玄関にぶちまけられる金魚。そんなことが数回あった。
いつしか、金魚を飼うことは無くなった。
私も、家に帰ると、そんな金魚のようだった…
私が親に死んでほしい理由 @rachellove
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