第12話 霊感
僕の中学校の昼食は弁当である。
そして、生徒は勝手に自分の好きなところで食べていいことになっている。
そして、本日の昼食。
やはり僕の周りにほとんどのクラスメイトが集まった。男女問わず。
そして昼食時間は質問等の嵐が再来した。
というか、いつになっても弁当を食べ始められそうになかったので、周りにそのことを伝えたら一瞬で静まり返った。
今度は一言も喋らずに僕の方向をじっと見てくる。
今日は見られてばっかりだ。
これはこれで食べにくい。
だが、僕が食べ始めないと周りも食べ始めそうにない。
ずっとこちらを凝視したままだ。
しょうがないので、僕は弁当を取り出し、蓋を開ける。
そして、回るからは歓声が上がった。
---何これ可愛い。
無論、姉に作ってもらったものだが、本当に可愛すぎる。
あと、平均的な中学生女子の昼食に比べ少し量が多い。
ま、それは魔力を維持するにはそれなりの食事を摂らないといけないからね。
「これって紫苑ちゃんが作ったの?」
誰かが尋ねた。
「いいや。姉さんに作ってもってる。」
魔王討伐の旅でもシアルに作ってもらってたしね。
ま、地球ほどいいものは食べられなかったけど。
食事といえば魔物である。
体力回復にちょうどいいし、栄養分もバランスよく摂取できる。
カロリーも高い。
そして、魔物というのは毒さえ処理すればほとんどは食べられるのだ。
まさに万能食材。
あの頃は野菜や穀物が恋しかった。
「シオンたんなら自分でこういう料理作ってそうだと思ってたんだけどなぁ。」
その岩渕さんの発言から気づいた。
僕って全然女子らしいところがないじゃないか!と。
別に、僕は女子らしくなりたいわけじゃない。
だけど、僕の正体が男であると思われない程度には女子力を高めたい。
僕の正体がバレるはずないが、やはり念には念を入れたい。
---それにしても、僕がこんな思考を持つようになるとはな。
もしかして、女子になったことで思考回路が変わったのか?
ともかく、その後も質問疑問の雨あられ。
今日は6月でも珍しい晴れだってのに、このクラス内の天候は雨あられ嵐と誠に不安定である。
「紫苑って食べるの早いね。」
「うん。」
ま、魔王討伐の旅では食事時間も限られていたので。
できるだけ早く食べれるようになったのだ。
現にもうすでに食べ終わりそうだ。
「それじゃあ、校内巡りでもするか。」
僕がそう言うと、至る所から『私がついていく!』『俺も!』という声が聞こえた。
というか、全然食べ終わってない人もいるでしょ。
それはいいとして、ここでも男子VS女子の対決が勃発した。
そしてこの対決は女子の勝利になり、僕について行く人は全員女子になった。
最初は全員でついて行くつもりのようだったか、それはさすがに多すぎるので4人までという制限を出したら、二階堂響、久保野楓、楠木理穂、泉茜の4人になった。
西条さんのグループは悔しそうにしている。
本当は一人で行きたかったのだが、
「一人よりもこの学校を熟知している私達に案内された方がこの学校のこと、よくわかるでしょ?」
と言われた。
実際は校内の知らないところを見に行くのではなく、僕の元いた学年を見に行くのだが。
ちなみにじゃんけんで決まった。
じゃんけんは平和的に紛争を解決できる手段の一つである。
「それじゃあ学校探検にレッツゴーォ!」
そして、教室の扉を開けた時だった。
そこには目を疑うものがあった。
『こ、これは・・・。』
シアルも驚愕している。きっと目を白黒させているであろう。
そこには、魔力溜まりがあった。
それも、第二級の魔力結晶レベルの魔力量を持つ魔力だまりが。
その魔力溜まりの方向を見ていたら、僕の耳元で誰かが囁いた。
---君、霊感が強いんだね。
そう、楠木理穂が囁いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます