第5回活動報告:まずは生き残る意思を
活動報告者:海川越郁 覚得之高校一年生 自然散策部 部員
当たると分かっていても、避けられないし、防げない一撃が、私の腕に叩き込まれる。
バキッ!? ボキッ!?
そんな嫌な音が、連続して続き、後の音が体の中から響いたのがわかる。
初めて聞く、自分の骨が折れた音。
「……!?!?」
遅れてくる激痛、声を上げることすらできない悶絶。
ただ、体を動かすとさらに痛いので、その場に蹲って動かないでいるだけで精一杯。
「さて、皆さん。痛いかもしれませんが、この程度のことで足を止めるのは命も落としかねませんので注意してくださいね」
こんな状況の中で、場違いな涼やかな声が聞こえる。
これは、私たちをこんな目に合わせて張本人の声で、里中先生だったりする。
そう、これは訓練。
私たちが異世界調査員になるための、訓練である。
「まあ、初めてですし、悶絶するのは仕方ないです。今はまず、その痛みを自覚して、こらえつつ、自分のステータスを見てもらえますか? それが訓練の第一歩です」
マジですか。
これをこらえつつ動けと。
しかし、やるといった手前、この程度はと、覚悟を決めて痛みで脂汗をかきつつ、指輪に意識を込めると、自分のステータスが表示される。
海川 越郁
HP 15
MP1200
ん?
思ったよりは、体力が残っているのかな?
だって、死ぬほど痛いのに。
代わりに、精神力はごっそり削られたのか、さっき見たときと比べて半分以下だ。
「実際見たからわかると思いますが、腕や足の骨折程度はまだまま死亡するようなダメージにはなりません。この結果体が動かなくなり、追撃を受けて死ぬのです。人が尤も注意するべきは、胴体や頭の損傷です。もちろん、歩けなくなる足の怪我も避けるべきですが」
なるほど。
確かに、人は手足が折れただけで即死することはないよね。
直接的な原因は、人の生命維持に関わる頭や胴体のダメージだ。
「無論。手足であっても、動脈を切られれば、失血死の可能性がありますから、怪我をしないというのが一番大事なのがわかりますね?」
そりゃそうだね。
脂汗を浮かべて必死に痛みをこらえつつ、先生の話に耳を傾ける。
「だからこそ、指輪の性能に頼り切って、攻撃を受けるなどという選択をしてはいけません。そんな油断が、死につながります。いいですね」
時間にすれば1分もないような話なのに、痛みをこらえて、聞いていると果てしなく長い気がする。
で、ようやく話が終わったのか、先生の声が柔らかくなって。
「では、そろそろ治療をしましょう」
そういわれて、ようやくほっとする。
でも、やっぱり甘くはなかった。
「私のところまで歩いてきた人から治療をします。頑張ってくださいね。怪我をしても動くということを経験しましょう」
そのあと、私は必死に痛みをこらえて立ち上がり、里中先生のところに歩いていったのだが、腕だけの骨折でもこれほどとはね。
ちなみに、一番最初に歩いて行ったのが、ゆーや。
流石、私のゆーやだ。
もちろん最後はこういうことに耐性がない宇野空先輩だった。
私は二番目。
「はい。よくできました。では、今日はこれを繰り返していきます。必死に体を動かして、攻撃に当たらないように、攻撃が当たっても蹲るのではなく動き続けることを、そして、どれほどの攻撃が当たれば自分たちにとって致命傷なのか、しっかり体で覚えてください」
そういう感じで、本当にその後は必死に走り回って逃げて避けて、先生の攻撃を受けては木剣で骨を折られて、吹き飛ばされて、悶絶し、回復しに歩いていくを繰り返す。
とりあえず、最後方には逃げるんじゃなくて、3人で先生に襲い掛かった方が長く生き延びる方法だということにゆーやが気が付いて、連携と呼ぶにはつたないけど、なんとか協力して、先生の攻撃を防いでは反撃して、痛打はそうそうもらわなくなっていた。
「そうです。あなたたちは3人いるのですから、連携、協力をするということを覚えなさい。生き残るためには今のようにあらゆる手段を講じなさい。地を這い泥を啜ってでも生きるという覚悟が、チャンスをつかむためのきっかけになります」
私たちがぜーぜー言いながら、先生の攻撃を受け止めていると、そんな感じで先生が話し始めた。
「考えなさい。思考を止めることは、立ち止まることと変わりがありません。堂々巡りなことを考えるのもある種の無意味でもありますが、今はそんな余裕もないでしょうから、いいでしょう。それが、あなたたちがこの異世界で生き抜くために必要なことです。ですが……」
そういって、いきなり里中先生が視界から消えて、いきなりゆーやが吹っ飛ばされた。
「ぐうっ……」
「ゆーや!?」
「勇也君!?」
一体何かと思ってゆーやに視線を向けると、反対側から声が聞こえた。
「まずは、敵対してはいけないという相手を感じ取るということを学びなさい」
そして、ゆーやと同じように、宇野空先輩が吹っ飛ぶ。
「うぐっ……」
その瞬間に私はとっさに前方に転がると、私の背中を掠るように何かが通り過ぎる。
起き上がると、里中先生がいつの間にかそこに立っていた。
「勘はいいようですね。海川さん。その感覚を大事にしなさい」
「えーっと、私は躱したからその痛打は無しってことは……」
「ええ。いいですよ。これから攻撃を全部躱せるなら、痛打はもらわないですむでしょう」
「……ですよねー」
やっぱりだめかー。
とりあえず、里中先生から目を離さず見つめていると、一瞬で視界から消え失せて、気が付けば、横に転がっていた。
「いっづ!?」
また折れたよ!?
もういい加減、痛みになれたのか、この程度で悶絶して動けなくなるってことはなくなっていた。
それは、ゆーやと宇野空先輩も同じで、ふらふらでありつつも、負傷したところを押さえてすぐに立ち上がっている。
流石に、里中先生に攻撃する余裕はないようだが。
「さて、そろそろ晩御飯の時間ですから、今日はここまでですね。治療をして、家に戻ってゆっくりしましょう」
里中先生がそう言って気が付いたけど、すでに空は夕暮れは通り過ぎて真っ暗に近かった。
それだけ真剣になっていたのか、それともそんな余裕などなかったのか。
まあ、ようやくドギツイ訓練が終わりを告げたんだから、痛む体を引きずって、先生に治療してもらい、家に戻る。
「じゃ、今日は私が晩御飯の用意をしますね。3人はお風呂にでも入ってすっきりしてきてください。あ、山谷君は一緒に入っちゃだめですよ?」
「わかってますって」
「えー。ゆーやと一緒にお風呂は別に構わないけど」
「僕も、あまり気にしないけど」
これだけ疲れているから、先輩と一緒にゆーやをお風呂で襲うのも一興だと思う。
ゆーやをハーレムにする野望があるんだし、こういうことは慣れないとねー。
いや、すでにというか、ずいぶん前から私はゆーやとズコバコやってるけどね。
宇野空先輩はまだだし、そういうことは協力するって言ったんだよね。
「ダメです。まだ、あなたたちは調査員にもなっていないんですから、ハーレム関連のフォローはまだできないんです。あと、妊娠でもしてしまえば調査員にもなれませんからね。誘惑や性欲を我慢する訓練の一環と思ってください。いいですね」
むう。
そういわれると文句はいえない。
「じゃ、仕方ない。宇野空先輩の裸体でうはうはするとしよう」
「はは、存分に堪能してくれ。代わりに僕のお風呂のサポート頼むよ。流石にガタガタだ」
「越郁も疲れてるんだから、あまり遊びすぎるなよ?」
「わかってるって、ゆーや。で、先にお風呂もらうね」
「ああ、ゆっくりしてくるといい」
そういうことで、私は先輩と一緒にお風呂に入ったのだが、流石にそういう、スケベなことをする余裕はないほど疲れている。
リアルでバキボキ骨折ってはくっつけてを繰り返して、訓練しまくったあとだしね。
「ふぅー。生き返るー。死んだことないけど」
「……同感だね。生き返るよ。でも、今日はある意味死に一番近かったのかもしれない」
そういいながら、2人で湯船にゆっくり漬かりながら話す。
「そうだね。最初は腕の骨とかだったけど、最後にはあばらとか頭とか、ちょっとやばめだったからね」
「うん。確か、頭蓋骨も、あばらも内臓を損傷する可能性があるから、正直死の一歩手前だったと思うよ。僕のHPは3とか2だったことがあるし」
「私も同じぐらい減ってたな」
もうその時は流石に先生もこっちに歩いてこいとは言わずに、こっちに歩いてきて回復してくれた。
それでも歩いてだ。
あの時は死が頭をよぎったね。
「でもなんだかんだで、すぐ回復してしまえるから、僕はやり続けられたと思う。これでび病院のベッド送りなら、僕はもう諦めてるね」
「それは私も同じ」
流石に訓練で病院送りとかなら、私もやってられない。
すぐにやめてる。
まあ、これぐらいのサポートはあるだろうとは思ってたしね。
中世ヨーロッパ程度の文明レベルの所に少人数でしかも学生を送り込むんだから、これぐらいのサポートがないと死屍累々だろうし。
「でも、これぐらいやらないとダメなんだろうね」
「そうですね。どこかで甘えが出るんでしょうね。きっと」
「社会はやっぱり厳しいね」
「ですねー」
漫画とかラノベの主人公たちのように、力を振るえいばいいという話でもないからねー。
「しかし、それはいいとして、なんで越郁君は、僕の横恋慕というか、勇也君のちょっかいを認めてくれる気になったんだい? ハーレムが大丈夫だからというだけじゃちょっとよくわからないんだけど。こういっては何だけど、独り占めしたいとかはないのかい?」
そうそう、元はといえばゆーやのハーレム計画でやる気だしたんだっけ?
いや、私は元から異世界ってところにひかれていたけど、宇野空先輩はハーレムサポートを知ってからやる気を出したよね。
まあ、私の理由はいたって簡単。
「ゆーやとは相思相愛だけど、その分、ゆーやに対する悪口もあるんだよ」
「悪口かい?」
「そうそう。私は見ての通りツルペタンの希少価値の塊だからね。そういうロリコン趣味だとか、彼女持ちへの嫉妬とかねー。後半はいいとして、ロリコンは私のせいだし、それでゆーやが馬鹿にされるのは納得がいかない」
「ふーむ。でも、それでなんで僕がいいってことになるんだい? いやスタイルは普通だけどさ」
「先輩はゆーやを馬鹿にしたり、私と関係を悪くしようとは思ってないでしょう?」
「まあ、短い付き合いではあるが、勇也君にはお世話になったし、彼のいいところだと思っているし、越郁君も同じように仲良くやっているしね。わざわざ彼の取り合いで喧嘩なんてしたら、そもそも勇也君に嫌われそうだからね」
「うん。だからだよ。先輩はハーレムでもいいと思ってるし、私もゆーやがロリコンではないと証明ができるし、いい男だという事でもあるからね。私個人としても先輩は嫌いじゃないし、ゆーやの取り合いで仲違いとか絶縁とかはいやだし、どっちも得するハーレムがいいじゃないかと思ったんだよ」
「なるほどー。確かに、そういわれるとそうだね」
「あと、ゆーやに言い寄る女を防ぐためでもある」
「どういうことだい?」
「ゆーやは知っての通り優しいからね。ガードしておかないといけないんだ。私のロリータスタイルと、先輩のモデルスタイルでがっちり固めれば、言い寄ろうとおもう女は減るでしょう? なんていいつつ、私と違う魅力の女性になびかないために同志が欲しいんだよね」
「そういうことか。越郁君は、ゆーや君が離れて行かないために、僕を受け入れたわけか」
そう、私の女としての魅力は限りなく少ない。
特に身体的には絶望的だ。
いつ、ゆーやがバインバインのクソ女にたぶらかされるかわからない。
なら、気の合う先輩をこちらに引き込んで、ゆーやをメロメロにすればいいと思いついた。
「まあ、この異世界に里中先生みたいな異種族がいるかもしれないし、そのかわいい子を合法的に触りまくるために、ゆーやのハーレムが必要でもある」
「あー、そういうのもあるよね。この異世界で使える人材も確保しろって話だし、それなら、夫婦の関係の方が信頼できる。だから、ハーレムか」
「いや、先輩、私のセクハラ発言を聞いてた?」
「聞いていたよ。でも、僕が言った一面もあるだろう?」
「まあね」
これから私たちは異世界調査をする中で、日本としての拠点を築かないといけない。
その維持の為に人材を抱え込まないといけないけど、現在の異世界管理局と各国は手一杯。
だから、自分たちで現地採用をしなければいけないんだけど、先生の授業の中で急激に発展する領地や特異な技術を持つところには、スパイが来るのは当然なので、大事なところには信頼できる人を雇うようにといわれている。
その一つの解決案が、ゆーやハーレム作戦だ。
「私が多くの男性を囲うのは嫌だし、可愛くない」
「あー、そうだね。文明レベル的に、女性の方が多く、男性が少ないってのが当たり前だし、勇也君をハーレムにした方が集まりはいいか。そしてその管理は僕と越郁君と、妥当だね」
なにかしらないけど、宇野空先輩はなぜか、いい方向へ勘違いをする。
私的には、ゆーや以外の男を受け入れる気はないから言ってるんだけど。
というか、私がハーレム作ったら、きっと遊ぶ時間がなくなるからね。
夜の相手でいつもべとべととか簡便。
ゆーやは……、まあ、私が選んだかわい子ちゃんだろうからいいんだよ。
「まあ、そんな野望を抱いていても、まずはこの訓練をやりきらないと、ゆーやを先輩に分けてあげることもできません」
「だね。ここは、わかりやすい目の前の餌を追うほうがいいかもね。地球のためとか、日本のためとか、そんなのよりも、僕と越郁君と勇也君の幸せのためって言うほうが頑張れる」
こんな感じで、お風呂で私と宇野空先輩は友好を深めつつ、明日への目標をしっかりと再確認したのだった。
「ふう。すっきりした。ゆーや、お風呂いいよ」
「勇也君、待たせてしまったね。ゆっくりしていってくれ」
「2人が上がってきましたし、僕はお風呂に行ってきますね」
「はい。行ってらっしゃい。2人は今のうちに自室へ行って今度持ってくるものを確認してくるといいですよ。あとはご飯が炊けるのを待つだけなんで、手伝いは特にいりませんから」
そういわれて、私と宇野空先輩は2回のあてがわれた自室に入って、部屋の中をよく確認する。
「来たときは間取りを覚えて、すぐに訓練だったしなー。と、ベッドはいい感じ。というか、私の部屋よりこっちの方が広いのが微妙な気分」
これで調査員になる前の扱いだから、しっかりと調査員になった暁はサポートはものすごいんだろうなー。
ついでに、この異世界では日本代表みたいなものだし、領主になっても構わないというか推奨されてるし、こっちの世界ではある程度贅沢ができるわけだ。
「うーむ。給料がどれだけ出るかわからないけど、きっとテレビとかゲーム、パソコンぐらいは買えるだろうし、そこら辺を買い込んで、持っていくのは確定だね。っと、それは安定したあとことだし、まずは必要なものだよね」
タンスの中を確認してみると、袋に入った新品下着が7着と学校指定のジャージも7着あった。
これは、いつでもボロボロになっても大丈夫とかいってたから、その替えなんだろうなー。
今日は着替えを持ってくる暇はなかったので、この用意された色気もクソもない下着とジャージ姿だ。
まあ、こっちで着飾っても仕方ないし、ジャージはいいとして、下着は家から何着か持ってこよう。
寝る用の着心地のいい奴がある。
ゆーやを誘惑する用の勝負下着はこっちにもってきても使う暇はないから、今はいいかな。
あとは、ノートとかペンは……、あるね。
そんな感じで、今度持ってくるものを書き込んでいると、里中先生が呼びにきたので、ご飯の時間となった。
テーブルに並べられているのは、普通の日本の食卓代表ともいえるような献立。
御飯にお味噌汁、肉じゃが、お新香。
「皆が何が好きかわからなかったから、とりあえず、肉じゃがにしてみました。お口に合うといいのだけど」
「いや、普通に美味しいですよ」
うん。
ゆーやのいう通り、普通に美味しい。
「でも、里中先生はエルフでしたよね。肉じゃがとかは……」
「夫のお母さまから教えてもらったわ。日本はいいわよね。食事が全般的に美味しいから。これは文明の差だとはっきりわかるわ」
「なるほど」
宇野空先輩が先生の答えに納得する。
まあ、エルフの民族料理が肉じゃがとかないだろうしね。
そんな会話をしつつ、体を思いっきり動かしたせいか、お腹はかなり減っていて、お代わりまでしてしっかりと食べきった。
「「「ごちそうさまでした」」」
「はい。お粗末さまでした」
そのあとは、私たちでお皿洗って、後片付けを済ませて、リビングでノーパソを扱っている里中先生にお茶を持っていく。
「どうぞ。お茶です」
「ありがとう。ふぅ」
「それって、言っていた報告書ですか?」
「そうよ」
先生の手元のノーパソの中では本日の活動報告書といプログラムが開いており、その枠に日付や、天気など、定番のものから、本日の行動のなどの細かい記載箇所も存在していた。
「これ、全部記入して送るんですか?」
「時と場合によるわね。この、出資とかはない日もあるし、遠征していると、PCで送れないからね。基本的に電波が届くようにしているのはこの家だけだから、この異世界だと」
「あ、そうか」
「でも、必ず一日一回は送らないといけないわ。向こうでは1時間で一日だからね。確認する方は絶対に見逃せないし、見逃してはいけないの。異変を確認するための手段だからね」
そうだった。
こっちでは、一日経っても、向こうでは一時間しか経っていない。
だから、こういう確認は大事なんだ。
「私とかはまだ楽な方ね。本部の報告書確認部署は毎日この送られてくるデータに目を通して、異変がないかとか、合わせて送ってくる応援要請の手配をほぼ一時間以内にやらないといけないから」
「うへー」
そうか、逆に考えると、日本にいる本部の人たちは一時間で異世界に行っている調査員は一日経つから、素早い準備が必要になるんだ。
それはキツイ。
「そして、これはあなたたちも同じですよ。まあ、渡すのが私なのですが。それをまとめて、本局に渡すのが私の仕事になるわけです」
「なるほど。でも、今日はもう書いてますよね」
「今日は初めてだからね。明日からこの報告書も書くことも訓練に入りますからがんばってください」
「「「はい」」」
里中先生が几帳面な話し方をするときはマジというのが今日一日でわかった。
まあ、教えているときの姿って感じだね。
多少砕けているときは、本心が多少見えているかんじかな?
先生も大変なんだね。
そりゃそうか、私たちみたいなど素人に色々教えないといけないんだから。
「ああ、気が付けばこんな時間ですか。明日は半日ぐらいしか練習しませんが、もっと厳しく、種類も増やしていきますから、そろそろ寝たほうがいいですよ」
時間はまだ9時と言ったところ。
普段ならまだまだ夜は始まったばかりと、ゲームでもするところなんだけど、幸か不幸か、ゲームはないし、ラノベや漫画もない。
なので、明日の為に寝ることにする。
「まずは、何よりも、生きるための手段を徹底的に教え込みますから。頑張ってください」
あの笑顔の後ろにある地獄の訓練を乗り越えるためにも、早く体を休めよう。
ゆーやと宇野空先輩も私と同じ考えに至ったようで、3人仲良く二階へ上がって、各々の部屋に入ってすぐに休んだ。
もぐりこんだベッドの寝心地はとてもよい。
きっとすぐに眠りにつけるだろう。
「さーて、明日も頑張りますか……」
そんなことをつぶやいて、目を閉じると、すぐに意識は遠のいていった。
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