飽きるほどに

「基本の流れは入ったな。一度通してプレイしてみろ」

「ええー。もう何度もやって飽きましたー」

「アホか。遊んでるんじゃないぞ。オレ達は作ってるんだ」

 真奈美は膨れっ面をしながらもコントローラーを手に取り、ゲームをスタートさせると「はじめから」を選択した。

 画面にはオープニングムービーが流れ始める。


 大人になる事を夢見る少年アキラは、いつか大魔法使いになると意気込む。

 だが魔法使いになるには専門の学校に通い、何年も修行しなくてはならない。

 だがある日、お隣りさんの娘ミラが小さいが火を出す魔法を使う。

 どうしたんだそれ! と詰め寄るアキラに、最近街に住み着いたルーカスという男に教えて貰ったと話す。

 ならオレも、と押しかけるが、偏屈で相手にしてくれない。

 どうやらミラがかわいい女の子だから教えたようだ。

 それでも食い下がるアキラにルーカスは、なら授業料を持ってこいとあしらわれる。

 しかし街の大人達は、あんな見た目だけだけの魔法を教えるなど邪道。基礎が崩れるといい顔をしない。

 それでも諦めきれないアキラはミラと仲間を集め、授業料を得る為に大道芸を始める。

 食いしん坊でふとっちょのバーグ。

 興業や口上で頼りになる年上でしっかり者のサム。

 主人公達よりも幼い子供エド。

「始めはミラの魔法しかないから苦労するんですよね。ルーカスもなんだかんだ言って面倒見はよくて、小銭で魔法を教えてくれるんです」

 兵隊なんかに見せるとポイントが高い。お金持っている上に娯楽も求めている。

 反対に年代の近い子供は手強い。お金もなければ娯楽にも疎い。

 そして中ボスのお披露目会に収穫祭。

 始めはそんなくだらない事は止めろと言ってくるジョー先生。

 その先生に認められる事が最初の試練。

 そして力をつけ、大きな場で見せるようになった主人公達に最大の試練が訪れる。

 この国の王様、ダン国王だ。

 にこやかに迎えてくれる王様に、喜び勇んで最高の芸を見せる子供達。

 わなわなと震える王様。

 感動に打ち震えているのかと思われた王様は「なんだこれは」と激怒する。

 国は今現在戦争状態にある。

 街の中は平和そのものだが、国境付近では今も剣をぶつけ合って戦っている状態だ。

 そんな中、すごい魔法を使う子供たちがいると聞いて、王様は呼びつけたのだ。

 何の役にも立たないと激高する王様は、臣下に「子供ですから」と宥められて事なきを得るが、大人達の頂点である王様に認められなかった事で失意のどん底に落とされるアキラ達。

 自分達のやってきた事は何だったのか。

 結局魔法は人を傷つける事でしか意味を見いだせないのか?

 そんなはずはない。

 魔法とはもっと人の役に立つもののはずだ。

 師匠でもあるルーカスに相談するも、世捨て人である彼は「自分で何とかするんだな」とそっけない。

 魔法使って人々を楽しませる『魔道商店』の興業により力を入れる。

「でもこれ後半部分がワンパターンじゃないですかね? この後のクライマックスにも唐突というか、なんか納得いかないっていうか」

「そうだな。元々アニメにする為の脚本だからな。ゲームにすると少し物足りないかもしれないな」

「何が足りないんでしょう?」

「やはり『強い』敵だな。国王に幻滅される辺りが物語の折り返し地点と言えるから、その後の新展開として、ライバル的な『敵』を出した方がいいな」

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