少し改稿

 主人公達よりも少し年上で、魔法の研究に熱心なタケシ。

 こちらは完全な天才タイプで、最初は仲間になるが魔法を見世物にする事に否定的で、何かとアキラ達と衝突する。

 ルーカスに基本的な魔法は伝授されるが、ある時『お前にはもう教えなれない』と拒絶されるのを機に仲間を脱退。

 その後もたまにアキラ達と接触するが、独学で結構な魔法を会得している。

「ルーカスに拒絶されたのはそいつに邪悪な思念を感じ取ったからだ」

 魔法というのは自然の力を借りるものだ。だから自然に反する破壊の目的には向かない。

 炎も創造の力とされている。

 だが憎悪や死など、負の自然力も存在する。古来より負の力というのはこの世そのものを滅ぼすとして禁忌とされてきた。

 だがタケシは負の力に魅せられ、禁忌とされる魔法を再現させていく。

 始めは同じ芸人だった事から『魅せ勝負』を行う。

 アキラ達のチームとタケシ一人で、どちらの方が客を魅せるかの勝負をする。

 たまに現れては勝負して去る。だが次第にタケシの力は大きくなっていく。

 タケシの芸で客は喝采ではなく、脅威を感じるようになり始める頃、その噂がダン国王の耳に入る。

 タケシを宮廷魔術師の講師として迎えられる。魔法戦力を蓄え、国には不穏な空気が漂い始める。

 そして国は戦争へ、アキラ達の芸は誰にも相手にされなくなる。

「遠くで爆音が轟く中、自分たちの目指したものは何だったのか、と嘆くアキラ達の前に、ルーカスが現れるんですね」

 タケシに魔法の手解きをしたのも自分だし、とアキラ達に究極の魔法を見せてやると言う。

 ルーカスはアキラ達を従え、大声で歌いながら、戦場になりつつある街を一列になって練り歩く。

 これが究極の魔法? と思いながらもアキラ達はルーカスについて行く。

 だが街には変化が。

 炎の魔法は花火になり、召喚された魔物は可愛い動物に、剣を持った兵士はクワを持った農夫に。

 究極の魔法とは、この世から争いを無くし、魔法を全て消し去ってしまうものだった。

 ルーカスは、この世に禁忌の魔法が解き放たれた時に、究極魔法を発動させる役を担っていたのだ。

 戦争は収まり、街は普段通りの姿に戻る。

 アキラ達は魔法のない世界で、大人へと成長していく。

「というのが全般的なストーリーですね。クライマックスにもうまく繋がったんじゃないでしょうか。でも魔法が無くなっちゃっていいんですか? それこそ主人公達のしてきた事が無駄になるんじゃ……」

「これはジュブナイルだからな」

「じ、じゅぶ?」

「少年の物語だ。この話は元々少年が大人になる話だからな。魔法を夢見る少年が、現実世界を生きる大人になる。それを示唆してるんだ」

「そういう事だったんですねー」

「中には目が覚めず、夢見たまま大人になる奴がいるけどな。…………ん? なに?」

「いえ、……なんでも」

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