幕間

インターミッション(なかがき)

 ゲーム会社に入ったばかりの頃。

 一番最初に発売する事になるタイトルで、アイコンなんかのデザインを募集していた。

 当時まだ新人だったので、色々経験するとよい、といくつか作るように言われる。

 何点か作成し、いくつかは採用されるのですが、そのうちの一番の自信作が使われている所を見ると、文字の一部を修正して別用途で使われていたんですね。

 それを見て、

「直したんすね~」

 と何でもない素振りをするも、やはり勝手に手を入れられた事はとても寂しかった。

 こんなちっぽけなアイコンに著作権なんてものはないのだけれど、言ってくれれば自分で直した。

 最初の仕事であり、一番最初に表に出る物。

「うん。これは自分が作ったんだ」

 と言える物ではなくなってしまった。修正したのは極一部で、微々たるものなのだけど、完全に自分が作った物とそうでない物は、

 日本刀で言うなら、真打ちと数打ちくらいの違いに感じてしまう。


 そういう経験があったので、

 僕は出してもらったアイデアを改変する必要がある時、それが部下だろうが新人だろうが、必ず話を通すようにしています。


 なぜ、変える必要があるのか。変える事によって何を期待しているのか。

 というのをきちんと説明する。


 中には、

「分かってるんで、好きに変えてくれていいですよ」

 と言ってくれる人もいるのだけれど、分け隔てなく話をするようしています。


 そうする事で、次回も快くアイデアを出してくれると思うわけですね。

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