そして夢は覚め

「あれ? 九条さんの席が……」

「おう、須藤。次のプロジェクトなんだけどな」

「あ、佐久間さん。九条さん、どこかへ移動したんですか?」

「ん? 誰だ?」


「ここの席にいた人ですよ」

「何言ってんだ。そこはお前が来た時からずっと空席だったろ」


「え?」


「ああ、そこ新しい人来るから、もう独り言は止めろよ」


「…………そんな、……バカな」

「それで次な。『こんなかわいい娘にちんちんがついてるはずはない』ってタイトルなんだが、そのシナリオやってほしいんだよ」

「…………」

「喜べ、次はメインだぞ。企画からは外れて、正式にシナリオ班に異動だ」

「…………」

「シナリオやりたかったんだろ?」

「…………」

「…………須藤?」


「…………じゃあ、あれは!?」


「……ぶっ!」

「!?」

「ぎゃははははははは。お前ホントに面白いな。九条さんが……、言ってた……通りだ」

「……?」

「いやな、九条さん。辞めたんだけど、みんなにメール来て、そう仕掛けしてくれってよ。そしたら、ホントに予想した通りの反応で……」

「…………」

「しばらく……、騙すつもりだったんだけど……、あんまり……反応が面白いもんだからよ」


「…………ホントに。あの人は……」

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