やっぱり妹

 須藤少年は家に帰り、リビングのソファーに鞄と体を投げ出して一息つく。

 妖精戦争は本にはならなかったが、自分の力を最大限に発揮したのだ。悔いはない。

 それに、ゲームになった後、原作として発刊される可能性もあるという事だ。これといった特徴が無いだけで決して駄作ではない。ゲームの売れ行き次第では書籍化できる。

 今なら九条がしきりに「ゲームになった時の事を意識しろ」と言っていた意味が分かる。3Dのゲームだが九条は関わるのだろうか。出来るならそうなってもらいたい。

 ゲーム化においては原作者なので少年の作業はない。成り行きを見守るだけだ。

 少年は自伝とも言える次作の構想を練らなくてはならない。


「あれ? 母ちゃんまだ帰ってないの?」

「うん。遅くなるって。だから今日は私が支度するね」

 と言ってキッチンに向かって何やら料理している。

 綾乃は料理サークルに所属しているだけあって、母親ほどではないにしろ腕は確かだ。

 髪を後ろで束ね、エプロンをして料理する姿は、世の男子なら微笑ましく見守りそうだ。


「大丈夫。潤いが必要だから、姉ちゃんも出してやる。妹の設定で」

「ん?」

 包丁が見えたので、聞こえるようには言ってない。

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