キャラクターを作る

「主人公はやっぱり剣士ですね。ヒロインに魔法使い」

「また最強にならないように……、そうだな、基本人間の魔法力は妖精より弱いってのがいいな」

「そうですか? でも魔法をバリバリ使いたいですよ」

「魔法使いより、神官の方がいいだろう。最初はその二人で後々強いパーティを増やしていくんだ。途中でまだ何も知らない子供の妖精を仲間にしろ」

「なるほど、まだ子供だから企てに参加してないんですね」

「人間に育てられた、とかの方がいいな。子供だから少し弱くできるし」

「妖精はやっぱり女の子がいいですね。じゃあもう一人男を出すとして、また剣士じゃ芸がないな」

「魔法は妖精から学んだんだろ? なら人間にも特有の受け継がれた技があるってのはどうだ。呪法みたいな」

「呪法ですか? どんなものです?」

「結界とか、防御系の技に特化してる。失われた技だから主人公達もよく知らない事にすれば、解説が入れやすいぞ」

「なるほど」

「五人の方がキリがいいな。もう一人いれよう。人間でも妖精でもない、色物キャラだ」

「動物とかですか?」

「そうだな。でもまんま動物じゃ、掛け合いが難しい。普段人間の姿の獣魔とかどうだ?」

「でもこの世界は人間と妖精だけですよ」

「そこは大昔に滅んだ事にするんだよ。神殿の地下深くに封印されて、誰もがおとぎ話だと思っていたものが蘇る、とかな」

「ははあ、なら主人公達が封印を解いて、戦って仲間にするようにすれば戦闘シーンも作れますね」



 タイトル『妖精戦争』(仮)


 人物


 フォックス

 十七歳、戦士男 そこそこ腕は立つがまだ少年のため危なっかしい所がある。相棒と共に冒険者として旅をしている。


 ホーリー

 十六歳、神官女 フォックスの相棒。ヒロイン的存在。戦闘では補助、回復を担っている。


 シグマ

 十九歳、術師男 小柄だが落ち着きがある。魔法とは違う系統の、この世界でも珍しい法術を使う。戦闘では防御担当。


 シルフィ

 十三歳、妖精女 まだ幼く妖精の策略に関わっていないためパーティに入る。力は弱いが回復、攻撃と全般的な魔法を使う。


 リックス

 年齢不明、獣魔男 神殿に封印されていた妖魔。パーティが誤って解放してしまい戦闘になるが、倒して仲間に。攻撃力が強い。


「こんな感じですかね」

「キャラクターを作る時は色を決めるといい。小説でもいずれは絵にしなくてはならない時が来る。その時のためにイメージカラーを決めておくんだ」

「なるほど、想像の中のイメージも作りやすくなるかもしれませんね。適当に決めていいんですか?」

「髪の色と一致させると分かりやすいぞ。服装で変わる事もないしな」

「そうですね。じゃあ」


 フォックス 銀

 ホーリー 緑

 シグマ 白

 シルフィ 水

 リックス 黒


「練ってばかりいてもしょうがないだろう。イメージを出してみろ」

 パチンと指を鳴らし、そこにいる見えない人の肩に手を置く様な動作をする。

「こんなもんか。この直立不動のキャラクター達に命を吹き込むんだ」


「……何にも見えません」

「すぐ見えるようになる。もっともお前さんのイメージと俺のイメージが同じとは限らない。そこは次第に統一されていくさ。まあとにかく動かしてみろ」

「動かせって言われても……」

「すぐイメージ出来てなくていいんだ。出来てると思い込め。そうだな、敵を出そう」

「敵って妖精ですよ」

「いきなり妖精が姿を現すのもなぁ。かといって盗賊とかピンと来ないな。よし姿を消した妖精だ」

「見えないんですか?」

「そうだ。魔法で姿を消してる。消せるのは身体の周り、有効範囲が決まってる。だから武器はクリスタル製の透明剣だ。行進するパーティに不意打ちするように襲いかかった時、その切っ先が僅かに見えた」

 そう言って空中に指で弧を描く。

「ひゅんと風を切る音と共に、何もない空中に光が反射する」


 わっと驚いた声を出し、フォックスがそれを避け、他のメンバーに向かって言う。

「気をつけろ、何かいるぞ」

 他のキャラクター達も周りを見渡し、防御陣形を取る。

「くっ、魔法か?」

 と呟くとフォックスは拳を握りしめる。

 その横からグラサン髭面の男が顔を出した。

「おいおい、こいつら武器持ってないじゃないか」

「決めてませんでしたね。でも剣士はやっぱり剣じゃないですか?」

「そうだな。ここはスタンダードに両刃の直刀だ」

 髭面の男が空中に線を描くとそこから剣が現れ、手にとったフォックスが構える。

「神官は杖ですか?」

「それもいいが安直だな。ここは魔法力を宿したロッドにしよう。接近戦にも有効だ」

「術士はどうです? お札とか?」

「術士は基本念力で戦うからな。だが通常攻撃もできる様にナックルにするか」

「通常攻撃する必要あるんですか?」

「ゲームになった時に、装備品があった方がいいだろう」

「そこまで?」

「当たり前だろう。アニメや映画、ゲームにしやすいように作る方がお前さんに向いてる。それとも小説ならではの文章トリックを活かした作品が書けるのか」

「む、無理ですね」

「挑戦と無謀は違うぞ少年」

「残りはどうします?」

「後は中盤以降のキャラだからな。今はいいや。こういう場面では必然的に防御に長けている術師が動き出すだろうな。ここでシグマが精神を集中し、結果を張る。パキーン」


 人間の編み出した術は精神力を著しく消費するので長期戦には向かない。

 だがドーム状に張った結界にかかるものがあった。バチッと空間に電気が走ったような衝撃。

「そこだっ」

 と叫んでフォックスが剣を払う。

 ガキッと剣に当たったような衝撃音。

「くっ」

 何もない所から声がする。手応えのあった方に走り出すと、何もない空間からナイフが飛び出して来た。それはフォックスの喉元をかすめる。

「うわっ! くそっ、逃がしたか」

 飛んできたナイフに気を取られた一瞬に、気配は分からなくなる。


「あっさり逃げていいんですか?」

「姿を消しての急襲は警戒されたら効果半減だ。初めて見た術士の技を警戒して引いたってとこだ」

 逃げたと見せてまだ近くにいるかもしれない、フォックス達は警戒を解く事なく周囲を窺う。

「くそっ!」

 フォックスは闇雲に何もない空間に向かって剣を振り回した。

「うわっ、あぶねぇ!」

 と言って髭面の男は頭をかばってしゃがみ込み、きょとんと立ったままの少年に手招きする。

「おいおい、あぶないぞ。ちゃんと避けろ」

「……あ、はいはい」

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