帰宅 ファンキーな物語
「おほほほほ、ここまで来た事は褒めてあげるわ」
ついに魔王が姿を現した。
ボン、キュッ、ボンの体にボディペイントしただけのようなコスチュームで勇者達の前に立ち塞がる。
「あんたは私が倒してやるよ!」
「よせ、モリガン! 相手は魔王だぞ!」
魔王の攻撃にモリガンが壁まで飛ばされる。その衝撃で、片方の胸がぷるんとはだけた。
「これでもくらいなっ!!」
魔王が手を振るとかまいたちが襲ってくる。
「きゃああっ」
「レイレイー!」
服がズタズタに裂け、白い肌が露わになって倒れたレイレイを抱き起こす。
「私は、もうダメみたいです」
「レイレイ、しっかりしろ!」
「勇者様……。わたし……、勇者様の事が……」
「レイレイーッ!」
原稿を読み返しながら少年は思う。
そう言えば、レイレイはなんで倒れたんだろう……、無傷なのに。
昼間、九条に「話の面白さを測りたいなら、これを色気がないものとして読んでみろ」と言われたので、想像しながら読み返していたのだ。
ゲームの企画にも人気アニメや映画のゲーム化がある。
元の作品の人気があれば当然ゲームの売れ行きもそれなりに保証される。マーケティングでも元作品がこれだけ売れているのだからこれくらいは期待できると、事前アンケートも添えて期待度を数値で表す事もできるし、告知のルートも確保されている。
だが中にはそれをゲームそのものの面白さと取り違える者が出る。
そういう時、『ならこれを無名のデザイナーのロボット、キャラに入れ替えても同じ結果が出せるのか?』とイメージするそうだ。
それがシステム、ストーリー単体の面白さというわけだ。
同じように『ファンタジー物語』を厚着の服装にして露出もなくし、特に女である必要のないキャラは男に、色恋は男の友情に。脳内変換しながら読んでみた。
「やっぱり、ダメなのかな……」
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